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仲間と保護者


「........フロウ?!」

「お、フロウじゃないか!」

「ん、フロウ!」


 三者三様の反応を聞いたフロウがゆっくりと近付き、俺が操っている渦状水を見た。


「ふむ...........初めてにしては上出来だ、人の子よ。」

「......それは、どうも。」


 いきなり魔術の生みの親(?)に褒められたので、驚いた。



「では人の子よ、先程も言ったが、この魔術の真の力は神を呼び起こすことにある。」

「......はあ。」


 いまいち分からない。が、聞き返せる相手でもない。


「我ら水に生きる者の創造主、白竜だ。龍の子とはまた違うが、まあ、人の子からすれば似たようなものだろう。」


 今の今まで龍王(オーガ)の親戚親戚だと思っていだが、厳密に言うと違うという事か。まあ、フロウの言う通り、俺からすれば同じ幻獣だが。


「この魔術はその創造主の力を、部分的にではあるが解放することができるのだ。」


 部分的、か。流石にたかが水で、しかもその創造主からしたら足元にも及ばない一魔術師が使うんじゃあ、部分的にもなるか。


「我もよく創造主と話したものだ。......懐かしいな。」

 そんな使い方もできるのか?



「........いくらリリス坊でもそれは無理だと思うぞ、フロウ。」



 まあ、そうだとは思ったが。



「........まあ、部分的な力と言えど、創造主は強い。人の子のちからになると、我は思うぞ。」

 それは確かだ。




 そこまで話したフロウは、ぽん、と手を打ち、さて、と言った。


「では人の子よ。創造主の力、我が物にするといい。」


 いきなり実践かい。シャトーといい、フロウもかなり教え方が大雑把だな。いや、論理を説明してくれるだけマシなのか........?



「........わかり、ました。」



 俺が返事をすると、フロウはとことこと俺に近寄り、穏やかな声で囁いた。


「なに、簡単な事だ。竜を想え。白く、輝く鱗を持つ、高貴な白竜だ。」

「白竜........」


 そうだ、この魔術の肝は想像力だ。あるかないか分からないが、俺の想像力をフル活用して........白くて、鱗を持って、長い竜........




 ................いや、普通に考えて見たことない物って、分からなくないか?

こんなので大丈夫か?




「........いいぞ、人の子よ。見よ。水が形を成していく。」


 見てみると、確かに水が渦からゆっくりと動き出し、細長くなっていた。



 ........あれでよかったのか........?




「オーガ、見てろ。リリス坊が白竜を創ってるからな!」

「りゅう?なかま?」

「オーガの........まあ、仲間だな!」


 言い切った。言い切ったぞこの保護者。子供に夢を与え過ぎないのも保護者の役割じゃないのか?現実を教えたほうがいいんじゃないのか?


「なかま!りゅう!」


 嬉しそうに喜ぶオーガの横で、シャトーが「こんなに喜んでるのにそんなこと言えるか!?」というようにこちら(?)を見つめてきた。


 


 これは、しょうがないな。




「これは................素晴らしい........!」


 俺たちには目もくれずに、形作られていく水を見ていたフロウが簡単お声を上げた。



「どれどれ........おお!」

 それに気が付いたシャトーとオーガ、そして俺も上を見上げた。



「りゅう!みずのりゅう!」



 そこには、朝日を受けてキラキラと輝く、まさしく水の竜が雄大に浮いていた。





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