想像と三流
「よし!晴れたな!さあさあリリス坊!早く外に行こうぜ!」
「そと........」
ちょっと早すぎないか?オーガなんてまだ寝ぼけているぞ?
「まだ朝日も昇り切ってないと思うが........正気か?」
........今言葉にする方を間違えた気がするが、まあいいだろう。
「まあまあ、早いほうがいいに決まってるだろう?いつまたモンスターが来るとは限らないしな!」
自分のためか。まあ、今(オーガの強すぎる魔術に対する)対抗能力はオーガの注意力以外ほぼ皆無だからな。確かに早いに越したことはないが......
「それに、朝早いとアイツが散歩に来るんだ!コツとか教えてくれるかもしれないだろ?」
それを先に言って欲しかったな。そう言ってくれれば快くかどうかは分からないが起きたかもしれない。
「........分かった。どのあたりに行けばいい?」
「んー、そうだな........ちょっと水浸しになっても構わないところか?」
分かった河原に行こう。
「ん........かわ........」
オーガは相変わらず眠たそうだが、俺は彼誰時の強めのモンスターと言うか亡霊と言うかがうろついていたせいで瞬間的に目覚めてしまった。
「よし!いいか!簡単に説明するぞ!『水神の使者』は、水を自由に操れるんだ!そこら辺の水でもいいし、魔術で出してもいい。」
本当に簡単だな。操り方とかも教えてくれ。
「操り方は........まあ、リリス坊で考えてくれ!」
投げやり過ぎないか........?まあ、この手の術だと、想像力がものを言うのが定番なんだが、これもそういうヤツか?
「りりす、みず........?」
オーガは半分ぐらい理解してないな。
「そうだぞオーガ。だから、ちょーっと離れてた方がいいかもな!」
それはちょっとじゃないな。今かなり離れたよな?
「ささ、リリス坊!やってみてくれ!」
「........ああ........」
三流教師に教わったかわできるかどうかは分からないがな。
「『水神の使者』。........うわっ!」
俺が誰もいないところに手を向けて術を唱えると、地面に大きな魔方陣が展開し、中から大量の水が湧き出した。
こんなに出るなんて聞いてないぞ。もうちょっと、小規模だと思っていた。取り敢えず自分が濡れないように........
俺が手を向けたまま球体をイメージすると、水はその通りに、少し歪んだボール状になった。
「おお!すごいぞリリス坊!初めてでそれだけ操れれば上等だ!」
「........!みず!ういてる!」
どうやらオーガも目が覚めたらしい。目を見開いてこちらを見ている。
「流石だな!使う人が使えば魔術も輝くってもんよ!」
これはできる部類に入るらしいな。少し形を変えて見るか。
つぎは渦を頭に浮かべると、水はゆっくりと渦を巻き、小さな竜巻のような形になった。
これは、攻撃にもつかるのではないか?今は被害が出ないように穏やかにしているが、早くすれば相当な威力は出る。そこら辺の水も取り込めば、大きくできるだろう。
「いいぞいいぞリリス坊!じゃあ、次は————」
シャトーが言いかけたとき、聞き覚えのある声が言葉を続けた。
「では、次は神を思い浮かべるといい。水の神、白竜を。」
俺が声の方向を見ると、二匹の白蛇を連れたフロウが朝日を浴びながら立っていた。