「『龍の森大規模討伐』」進軍一日目
ザッザッザ、と200人程の足音が草原に響く。
「それにしても長いですね........どこまで続いてるんだろう。」
道なき道を進みながら、新人ハンターが呟いた。
「ははは........龍の森まではかなりあるからな。馬車で目いっぱい走らせても丸2日はかかる。まして大群で進めばなおさら、だな。」
「そ、そんなにかかるんですか?!」
弓を携えたハンターの言葉に、流石に驚きを隠せなかった新人ハンターはつい大声を上げてしまい、慌てて口を押えた。
「それに、道中もなかなかだぞ?なにせ、隣の国との境だ。辺境そのものだし、宿屋なんてろくにない。」
ローブを纏ったハンターも続き、新人ハンターは驚いた。
「そんな話は聞いていましたが........まさか、本当に何もないなんて......」
「まあ、そんなものだ。それに、安全、という訳でもなくてだな......」
弓を持ったハンターが続けようとしたとき、前方から大きな声がした。
「敵襲ー!敵襲ー!複数のモンスターを確認!総員、直ちに戦闘に参加せよ!もう一度告げる!......」
新人ハンターたちが少し乗り出すと、10匹ほどの異形の怪物が現れた。
「龍の森の近くは危険が多い。以前の大規模討伐でもこうして襲われたものだ。」
「い、行くだけで一苦労じゃないですか........」
次々と襲い掛かるモンスターを、パーティーの仲間と共に捌きながら新人ハンターが深いため息をついた。
「ま、その分報酬も美味い。それに、こうして倒したモンスターも遺物は自分の物として管理して構わないそうだからな。」
ローブを纏ったハンターは、そう言いながらたった今倒したモンスターの魔法石を懐に入れた。
「危険と利益は隣り合わせなんですね........」
「ま、そう言うことだ。この調子なら、あと2日もすれば龍の森に到着するな。それまでお互い頑張ろうじゃないか。」
「うむ。困ったときはお互い様、と言うやつだな。」
二人のハンターに言われ、新人ハンター達もうなずいた。
「『龍の森』大規模討伐部隊」は、着々と目的地へと近付いていた。