水晶と予知
「りりす、なにした?」
俺とフロウが戻ってくるなりオーガが泉から勢いよく上がり、駆け寄ってきた。
「術を一つ教えていたんだ........人の子は強くなったぞ。」
「りりす、つよくなった?」
「そうだとも。」
あの幻獣、オーガの事よく撫でるな。オーガが撫でられるのが好きなのか、フロウが撫でるのが好きなのか........
「では、遅くならないうちに帰るといい。もうすぐ雨が降ると、『神の瞳』が言っている。」
「『神の瞳』?」
また新しい術が出てきたな。天気予報でもできるのか?
「フロウ、なんでもわかる!」
オーガ、簡単な説明ありがとう。予知、と言ったところか。となると、巫女やら司祭やら使っている「賢者の瞳」の上位版か?
「なんでも、は言い過だ。日付や日時ぐらいまでしか分からないから........」
そこまで分かれば十分じゃないか?巫女とか司祭なんかとんでもなく抽象的だぞ?幾度となく外したぞ?
「『白水蛇』にも入っている。人の子も使えると思うぞ。精度は術師次第、となってしまうが人の子ほどの力があれば、十分使えるだろう。」
入っているのか。ってことは、8つ目か?
「りりす、なんでもわかる?」
「そのうち、になると思うぞ........」
結局、2つも教えてもらったな。城に戻ったら、早速練習しなくては。
「またいつでも来るといい。私はいつでも待っているぞ。」
「フロウ、またくる!りりす、いっしょ!」
フロウが、手を振ったので、俺も一礼し、手を振り続けるオーガを連れて聖なる泉を後にした。
「........んで、水晶までもらったのか。」
まあ、成り行きだ。
「せっかく人の子が直したのだから、と勧められたんだ。」
「やっぱあいつは面倒見がいいなあ。ま、倉庫になかったから丁度良かったんだがな!」
なかったのか。あれだけ自信満々だったのに。
「ま、まあ、クスノキはあったし、これで、揃ったな!」
結果オーライだな。
シャトーは、ふう、と一息ついた後、ぼそりと言った。
「後は........炎鳥、だな。」