大きさと摂理
「『炎鳥の翼』、か。」
炎鳥、と言うのは多分幻獣の種類だと思う。幻獣はあまり詳しくないが、炎を纏った鳥、と解釈してよさそうだな。
そいつの翼、か。全てをかき消すぐらいってことは、鳥自体も相当大きいんだろうな。
「威力は.......期待はできそうだな。」
どうやらシャトーといいウルフの王といい、この森では 大きい=強い という方程式が隣の部屋で寝ている龍王以外には成り立っているようだから、この鳥も大きいという事は強いはずだ。
この魔術、俺の身を守るためになるべく早く覚えないといけないな。
「素材は何だ.....?」
そうと決まれば、俺はまず必要な素材の欄に目を通した。威力が強い魔術はそれ相当の素材がいるのだが、この術はどうなんだ?
「えっと.....?炎鳥の羽、炎鳥の魔法石、水晶.....」
.......後半の水晶、聖なる泉の水、クスノキの枝は何とかなりそうだな。
「.......炎鳥を倒せと」
前半はどう考えても討伐しろと言っているようなものだよなあ。それに、魔法石を取られたら生きて行けるのか?もうとうの昔に死んでいるんじゃないのか?それとも、何かの力で何度でも蘇るのか.......?
「明日、シャトーに聞いてみるか。」
難しいこの世の摂理(?)を考えたら眠気が襲ってきた。生きているかどうかは明日知ってそうな人に聞いてみるか。
俺は幻獣術伝を閉じ、枕もとの棚に置き眠りにつくことにした。