本棚とフォロー
「何があるんだ?」
「まあ、ついて来いって!」
シャトーの後を訳も分からずに着いて行くと、倉庫の奥の少し開けた場所に着いた。
「........本棚?」
そこには周りの棚よりも少し小さな本棚が一つ置かれていた。中にはぎっしりと本が入れられていた。
見た感じはかなり古そうだが、一体何の本なんだ?
「そうだ!古そうに見えるだろ?」
ああ。俺が知っているどの本よりも古いな。骨董店にある物でもこんなに古いものはないな。
「これは何の本なんだ?」
俺が聞くと、シャトーは待っていましたとばかりに自慢げに答えた。
「さっきリリス坊の使う魔術は弱い、って言っただろう?」
言ったな。マイナス10くらいだったか?
「ここにあるのは古今東西のいろんな魔導書と、魔導書の素材が書いてあるだぜ!」
古今東西の、魔術?ここに?
「........本当か?」
「もちろんだ!リリス坊たちが使ってる低級魔術から、オーガが使うみたいな高度な魔導書の作り方も載ってるんだぜ!」
今低級魔術って言ったな。はっきり言ったな。
「信じられない、って顔だな。」
いや、もう俺たちが使う魔術に遠慮がないなって顔だ。
「じゃあ........そうだな、例えば........」
シャトーが燭台のまま本棚に近付き、一番上の棚を一瞥し、とある本の前で止まった。
「これなんか見て見ろ!リリス坊が使ってる魔術が載ってるぞ!」
比較的新しいその本を取り出すと、表紙には「初歩魔術大全」と古い文字で書いてあった。
........これはどうやら、本当に俺達人間が使う魔術は弱いらしいな。
「ほら、このページとか、リリス坊がさっき使っていた『闘技場』だぜ!」
シャトーが目次で指したページを見ると、確かに「初級防御魔術一覧」と書かれ、俺が使ってる「闘技場」や「鉄壁の砦」、他にも様々な防御魔術が載っていた。
「へえ........」
これはすごいな。俺が知らないものまで載っている。他のページにも目を通すと、俺が使っている魔術はほぼ網羅されていることが確認できた。
「だろ!これがあれば、大体の魔術は完璧ってわけだ!」
確かに、一冊にこれだけ魔術が載っているわけだから、魔導書が含まれるとしても、この本棚の魔術を全て覚えればかなりの量になる。
そうすれば、少しは魔術師として進歩できるのだろうか。
「で、オレがリリス坊に渡したいのは........えーと、これだ!」
シャトーが止まった場所の本を見ると、骨董店や古書堂でしか見たことのないような古い文字で「幻獣術伝」と書かれた分厚い本があった。
こちら側のミスで更新が遅れました。
申し訳ありません