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籠と乗り捨て


「魚を捕るいい方法って、なんだ?」

日は変わり、俺たちはこの前の河にいる。オーガとシャトーの手(と本体)には昨日燻製を運び込むのに使った籠。俺の手には手ごろな木の棒がある。


「これを使って魚を捕るんだ。」

 不思議そうな顔をする二人にそう言うと、俺は昨日考えた方法を試してみることにした。


「まずは......オーガ、籠をくれないか?」

「ん。」

 オーガが絡籠を受け取り、俺は籠の網の隙間に持ってきた木の棒を差し込んだ。長さが足りるか心配だったが、難なく反対側まで貫通させる。


「籠に........棒?」

「?」

 まだ分からないよなあ。俺もうまくいくかは分からないのだが。


「これを........こう。」

 それを持ったまま河の籠が隠れるほどの場所に入り、河底に棒を刺した。


 ........思ったより流れが速いな。一応、吹っ飛ばされると困るから、固定をしておくか。


「........『古木(こぼく)の根』」

 固定魔術を掛け、動かないことを確認する。


「........これで完成だ。」

 俺が河から出ると、二人はまだぽかんとしていた。


「りりす、なにした........?」

「それ、なんだ.....?」


「これは........罠だ。魚を捕まえるための。」

 要するに、自力で捕まえるのが難しいなら、罠を造ればいい、という事だ。多分数匹は流れで入ってくると思うが。何個か作れば確率が上がるだろう。ダメなら餌でも........避けたいが、餌でも入れれば来ると思う。



「わな?」

「ああ、罠か。なるほどな!あの状態だと、罠の方が早いからな!」

 自覚はあったんだな。釣り初心者とコントロールがなってない人の集団だったし、こっちの方がはるかに早いと思うぞ。



「ま、やってみる価値はあると思うぜ!オーガ、やり方は分かったろ?いろんなところに仕掛けるんだ!」

「ん!わな!」


 分かってくれたみたいだな。木の棒はその辺からとればいいし、ちょっと固定すればいいからな。


 籠を持ってトコトコと川下に向かうオーガを見ながら、俺も二つ目の罠を仕掛けにかかった。




「これで、夕暮れにでも見に行ってみるか?成功するかは分からないんだが。」

「そうしようぜ!なんたって、三匹かかればいいんだ!」

「さかな!」

 元気な声で話しながら城に戻った俺は、ふと、食堂にまだ籠があることを思い出した。あれ、仕舞ってこないと、シャトーがまた乗り移って燭台みたいに乗り捨てするよな........?


「ちょっと、後片付けをして来るから......オーガはどうする?」

「はたけ!」

 行動範囲内に仕掛けてもなお余った籠をブンブンと振り回しながら元気に答えた。


「俺も手伝うぜ!リリス坊。オーガ、すぐ戻るから、野菜の収穫をしておいてくれ!」

「ん!」

 珍しくシャトーが助けてくれるらしく、畑の前でオーガと別れ、シャトーと俺は籠を持ちに食堂へと城の中に入っていった。


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