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乙女の悩み

「困りましたわ........」

 ここ最近、ずっと悩んでいる。


 リリス様の名前が行商人の買い付けリストのないことは分かったものの、それ以降進展がない。


 と言うよりも、進展できない、と言った方が正しいのかもしれない。


「流石に司法省は警備が厳しいのよねえ........」

 今私がすべきことは、リリス様が持っていたとされる薬草が毒草ではないと証明すること。そのためには何とかして本物を入手する必要がある。


 が、通常、王家を揺るがすような事件の証拠品となれば、警備が厳しい司法省の中でもさらに厳しく保管されている。いくら王女とはいえ、一応リリス様の関係者である私が簡単に入れるとは思えない。


「リコでも無理よね........」

 勿論、今までに鼠一匹入ったところを見た記憶がない。


 


 だからと言って諦める訳にはいかない。リリス様の無実を証明できるのは私しかいないのだもの。必ず、リリス様の汚名を雪がないといけない。


 私は必死に策を考えた。

「........警備が薄くなる日はないかしら。」

 王城の警備となれば選ばれた優秀な人しか就くことができない。となれば必然的に人数も限られてくる。

 事実、私が外出する時も大体決まった人が警備についている。



 つまり、何かの都合で司法省の警備につく人が少ない日があれば、その日に一か八かで入り込むしかない。


 勿論、警備の巡回表だとか、人数だとかは把握したうえでの話だけれど。



「でも、そんな都合のいいことなんてあるかしら........?」

 私が独り言のように呟いていると、ドアをノックする音が聞こえた。


「エミリア様、少し、よろしいでしょうか?」

 いつもの兵士の声だ。私が構わないと言うと、ドアが開き、兵士が2人控えていた。一人はいつもの人。もう一人は、見かけない人だ。


「このような場所で申し訳ありません。ですが、急な事でして.....」

 男を私の部屋に入れるわけにはいかないので、必然的に廊下になってしまったが、別に気にしてない。


「別にいいのよ。ところで、そんなに急な用事って、何かしら?」

 私が尋ねると、いつもの兵士がは、と続けた。


「実はわたくし、この度の対規模討伐に出陣いたす王国治安部隊の方々に代わりまして、臨時治安部隊に一時的に赴任いたしました。そのため、大規模討伐が終了するまでは代わりの物が警備に当たりますので、ご挨拶をと。」

 促された兵士が、一礼した。明らかに、強そう。


「そうだったのね。短い間になると思うけれど、お願いいたしますわ。」

 は、と礼をした兵士の襟には、見たことのあるようなバッチがついていた。




 ........あれは、間違いなく司法省のバッチ。司法省はその役割から所属する兵士が多いとは聞いていたけれど......大規模討伐で治安部隊がいなくなるから、いろんなところに回されるのね。



 ということは、少なからず保管室の警備も薄くなっているかしら....

 それに賭けるしか、なさそうね。

 


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