連携と一致
「まずは.......説明からだな!」
太陽が燦燦と照り、大河の水位もだいぶ減った翌日、シャトー(本)の指導の下で、俺とオーガの魔術の練習が始まった。勿論、「闘技場」と今回新たに物理的な壁の「鉄壁の砦」を用意して、だ。
オーガは只々威力の調整なので隣で大きめの火を出したり、植物を成長させたりしている。
かなり心配なんだが。
「この『魔狼の咆哮』はな、簡単に言うと、ウルフが吠えるんだ。」
それは知ってるぞ。名前を見ればわかる。それ以外の情報が欲しいんだが。
「........よくわからないのだが。」
「いや、だがら........ウルフがな.....幻像だけど.....召喚されてだな。」
その情報が欲しかったんだが。ウルフが召喚されてどうするんだ?
「召喚されて?」
「こう.....吠えて.....まあ、足止め、的な?動けなくするんだ。」
分かったけどわからん。取り敢えず、かなりうるさい声で吠えるんだな。あと、多分それだけうるさいなら、風圧もすごいことになるだろうな。
「........多分、分かった。」
「じゃあ、実践だぜ!今から適当なモンスターを呼ぶから、使ってみてくれ!あ、勿論トドメは刺せないから、他の魔術も用意してくれよ!」
魔術を同時に4つも使わせる気か?魔術は同時に使えば使う分だけ大変になるんだが?俺だって5つぐらいが限界なんだが?
「はあ........ん?」
できない訳ではいので俺がどれを使おうかと考えていると、オーガがシャトーの元へ走っていった。
「シャトー!」
「ん?どうしたリリス坊?腹でも空いたか?」
「オーガ、やる!」
攻撃を、か?
「オーガが倒すのか?」
「ん!」
それは有難いが........それは大丈夫なのか?いきなり灼熱の焦土とか、凍り付いた大地とか、湖に沈んだ森とかにしないか?
「それは助かるが.....威力はもういいのか?」
シャトーも同じこと思ってたな。このことに関しては意見がよく合うな。
「ん!」
自信満々なんだが、信じてもいいのか?大丈夫か?俺の魔術も万能じゃないんだぞ?
「まあ、今後二人で連携、とかも増えるだろうしなあ.....」
「オーガできる!」
しかしやけに自信満々だな。何か策でもあるのか?
「まあ、やってみるか?リリス坊。」
少し心配だが、やる価値はあると思うぞ。
「まあ.....俺は構わないが。」
「!!」
「じゃ、やってみるか!リリス坊とオーガの連携攻撃!」
「れんけい!」
いつでも、いつでも無効魔術を出せるようにしておこう。効くかどうかは分からないけど。