オルシア王国、預言者の祭壇
オルシア王国の外れにある小高い山の上にガルーンら大規模討伐に参加する熟練のハンターが集まっていた。
ガルーンたちが囲んでいるのは、輪の中心にある大きな焚火の向こうにある祭壇だった。
パチパチと燃える炎の向こうでは、一人の高名な術師がいた。
「神よ........お答えください........」
何やらブツブツと呟いた術師は、そのままゆっくりと舞を踊り出した。
「この術師の預言はな、当たると有名なんだ。だからこうして、まあ........ゲン担ぎ、というやつだな。」
「例え確証のないことだとしても『勝つ』と言ってもられば、士気の一つや二つ上がるだろう。」
二人のハンターからそう耳打ちされた新人の大剣使いのハンターは、へえ、と頷いた。
「ここからではよく見えないのですが........今は何をして言うのでしょうか?」
先ほどのハンターのパーティーのメンバーと思しき魔術師の女性が背伸びをしながら訪ねた。このパーティーと二人のハンターの他にも多くのハンターが集まり、人だかりとなっていた。
「今は......何か、預言を授かっているな。」
弓を持ったハンターも、少し背伸びをして答えた。
「そろそろ来るんじゃないか?......お、何か言っているぞ。」
ローブを纏ったハンターが、職業柄優れている聴力を頼りに、術師の声を聞き取ろうとしたが、その必要がないほどの声で、術師が預言を叫んだ。
「見える......見える!......森の中......倒れている......大きな影......銀の.....戦士......!」
「銀の戦士だって?!」
「銀って言ったら、『銀の槍』のガルーン様の事じゃないか?!」
「大きな影って...あのドラゴンの事か?!」
歓喜にも似たざわめきがハンター中に広がった。勿論、この古参のハンターも例外ではない。
「ふむ......これは........」
「まさか、ここまで出るとはなあ。」
輪の中心で預言を聞いたガルーン様は、勝利を確信したかのように嗤った。
「あの、どういうことですか?」
状況が飲み込めない新人のハンター達の耳に、ガルーンの冴えわたる声が聞こえた。
「皆の者、聞いたか?神も我らの勝利を預言している。恐れることは何もない。龍の森の黒き龍を討伐し、我が国の平和を築こうではないか!」
祭壇の周りに、大きな雄叫びが響いた。
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