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釣り竿と風邪


「それで........釣り、と言うからには道具はあるのか?」

 いそいそと出かける準備をするオーガとシャトーがくるりと振り返った。


「どうぐ?」

「何か道具でもいるのか?」

 いや、むしろいらないことってあるか?


「いや、魚、捕まえるんだろう?じゃあ、釣り竿とか、いるんじゃないか?」

「え?素潜りすんじゃないのか?」

 どうしてそうなる。


「オーガもぐる!つかまえる!」

 ああ........狼になれば水の中に何も気にせずに潜れるもんな。でもそれは俺が想像していたやつとは違うんだなあ........


「オーガはいいとして、俺とシャトーは?流石に風邪をひくぞ。」

「そうか........」

 やっと気付いてくれたか。


「じゃ、オレは銛でも持ってくか!」

 いや、俺は?

「リリス坊も持ってくか?ぴったり当たると気持ちいいぞ~」

 ぴったり当たらなかったらどうするんだ、ぴったり当たらなかったら。


「いや、俺は遠慮しておく。コントロールがいいわけじゃないから。」

「そうか........じゃあ、何を持って行くんだ?」

「この城に釣り竿はないか?」

 ないと思うけど、念のため。


「釣り竿?」

「ざお?」

 あ、ないみたいだな。


「いや、ないならいいんだ。」

 ないなら作るか。


「ちょっと外に行ってもいいか?」

「ん?何するんだ?」

「りりす かわ、いく?」

 いや、ちょっと頑丈な棒........木でいいんだが、それを探しに行くんだ。

「木の棒が欲しいんだ。ちょっと長めの。」

「オーガついてく!」

 そうなると思った。別に構わないぞ。

「オレも~♪」

 あんたもか。




「........ずいぶん大きくなったな。」

「りんご!いっぱい!」

 オーガが「リンゴは種を植えると育って(短期間で)いっぱいになる」という事を知ってから、盛んに木が生えるようになった。城を囲むように言えるもんだから、お化け屋敷ならぬリンゴ屋敷になっている。



「きのぼう?」

 そうだな。取り敢えず今日持てばいいから何でもいいか。


「これ折ってもいいか?」

 木の持ち主(オーガ)に聞いた。実がなっていない枝とはいえ、流石に勝手に折るのは気が引ける。ダメだと言われたら、別の野生の木を探すつもりだ。


「ん!」

 オーガは大きく頷いた。じゃあ、ありがたく使わせてもらおう。

 

 パキリと枝を折り、倉庫からもらってきた細い紐のような物を結び付けた。針金もその辺の金属を魔術で熱してそれっぽ形にした。かなり脆そうだがまあ、何とかなるだろう。


「つりざお?」

 そうだ。これが釣り竿だ。

「ああ。人間は大体これを使う。魚の体を傷つけにくい、とのことだ。」

 実際俺も釣りはしたことが無いから、見よう見まねでやるのだが。これだって素材を取ってきてくれるハンターから聞いたことだ。


「ほー。魚の鱗は素材になるんだな!」

 なるらしいぞ。俺は余り使わないんだが。


「じゃあ、準備はできたかー?」

 シャトーがどこから持ってきたのか、バケツと宣言通りの銛を持ち、行く気満々で城の外に出た。オーガも何も持たずに後に続いた。


「できた!」

 俺もできたぞ。


「よし、川にいくぞー!」

「いく!」


 日が傾かないうちにせめて今日分の魚だけでも釣れるといいんだが。


明けましておめでとうございます!

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