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乙女と讃美歌の備忘録

追記:感想書いていただいた方、こちらの誤操作で削除してしまいました。申し訳ありません。貴重なご意見ありがとうございます。ですがもう少し言葉をお選びいただけるとありがたいです。

「間に合いそうなの? 貴方 」

「なんともいえません......討伐軍と敵の力量差次第です」

「どちらが強いかなんて(わたし)にはわかりませんわ! それよりもリリス様が巻き込まれていないかが心配です!」


 私は今、サランディアという魔術師の召喚した天馬のようなものに乗り空を飛んでいる。

 移動中に聞いた彼の話では、リリス様が森で現在も生存しており、なんとあの黒龍の住む城の中で生活しているとのこと。そして、実は長年敵だと思い込んでいた龍は敵ではなく、真の襲撃者であった炎の鳥はその龍とリリス様によって討滅されていたということだった。

 余りの情報量の多さにリコ共々混乱したけれど、だったら尚更リリス様を連れ出さなければならない。いくら幻獣と一緒にいて、最強レベルの魔術を使えると言ってもリリス様はただの人間なのだから。


 それに私は関係ないとはいえ、冤罪でひどいことをしてしまったのも確か。それについても直接謝りたい。



なによりリリス様に会いたい。私はただそれだけを考えていた。


「というか、(わたくし)も観たいですよ!! 生きる伝説と呼ばれる幻獣の繰り出す魔術ですよ! それによくわからないあの術師の男! 一体どのような訓練をしたらあそこまでの実力になるのか....! きっとリリス様も素晴らしい秘術を習得なさっているはず....! はあ、間に合うといいのですが.....!」


 ......なんかこの人、最初は高貴で優美な方かと思いましたけれど、ただの魔術狂いだったりしません?




「ですが、あと少しで到着ですよ。エミリア様」


 サランディア様の言葉に、あまりの高さに固まっているリコからふと視線をあげると、視界の下に広大な森が広がっていた。

 とても広い森とは聞いていたけれど、終わりが見えない。この中からどうやってリリス様を見つければよいのでしょうか....



「それで、リリス様はどちらに?」

「勿論、場所は分かっておりますが...........っ!」


 サランディア様は何かを続けようとした瞬間、一瞬で光り輝く障壁を生成した。リコも何かに気が付いたらしく、フー、と威嚇をしている。




「あの、どうなさったので.........」

なにか魔物でもいたのかと思い、周りを見回した私は、ある者を見つけて息をのんだ





 広大な森の上に、大きな黒い龍がいた。王宮で聞いていたようなおどろおどろしい姿ではなく、寧ろ神々しいような気さえした。

 龍は大きな翼を広げ、大きくはためかせた。




「きゃ!」

「おっと」

「ふなっ!」

 次の瞬間、僅かに衝撃が走り、震源である龍の周りの木々が切り倒されていた。


「危なかったですねエミリア様、リコ様。しかしあれが龍の力ですか......今回も討伐軍は終わりですね。前回同様、記憶喪失で済むといいのですが。」


 どちらの味方なのか分からない発言を遮るように龍が咆哮し、空気がびりびりと震えた。パリン、と何かが砕ける音が聞こえたかと思うと、サランディア様が展開した障壁が砕け散った。




「サランディア様の魔術が? やはり幻獣の力は強大なのですね....」

 サランディア様も素晴らしい魔術師の一人であると聞いている。その魔術がいともたやすく破壊されるなんて、人間の相手ではないということなのかもしれない。





「素晴らしい! さすがはリリス様です! この私の魔術をも上回るなんて! 一体どんな魔導書を習得なさったのでしょうか....!」

「あの、なにをおっしゃっているのです?」

 サランディア様のほうを見ると、惚れ惚れとした表情で何かをぶつぶつと言っていた。



「いえ、何でもありません。あのレベルの力を持つ龍と一緒ならば恐らくリリス様に危険はないでしょう。一刻も早くリリス様をお迎えしたいところですが、国軍(あいつら)が邪魔ですね......国軍の救護でもします?」

 


 いつの間にか龍は消えており、後には気絶した兵士と巻き添えを食らった魔物、荘厳とそびえる古城だけが残されている。



「貴方、急に口が悪くなったわね......でも、そうね。そうしましょう」

「『白光の慈悲』。はいこれで大丈夫です。行きましょう!邪魔な...いえ、ひ弱な皆さんを森の外まで運ぶのです!」

 私は本音が駄々洩れなサランディア様と共に、気絶した国軍の兵士を森の外へと退避させることにした。




 途中でリリス様を嵌めた人たちをちょっと蹴ったのはリコと私だけの秘密だ。

エミリア編はこれにて完結です

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