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踊り場と予知

「いやー、他の物は全部あったんだけどなー」

「寧ろ一番レアリティは低そうに見えるんだがな」


 シャトーのコレクション倉庫から帰る途中、シャトーが手元の素材を見ながらつぶやいた。蔦で編まれた籠の中には、普通の人が見たら卒倒するレベルの高級な品ばかり。


「多分結構とれるからためておく必要がないと思ったんだろうなあ~」

 確かにこの中だと採取情報は聞くが....


「これはどうするんだ? 無いということは....」

「フロウノのとこ、とりにいく!」

 やはりそうか。というか、フロウのところにあるんだな。


「フロウ、ばしょしってる!」

 場所を知っているだけか。まあ、それだけでもありがたいが。


「エメラルドは探せば見つからないことはないぜ。ただ大魔導書集(これ)に使える純度のエメラルドは手に入りにくいんだぜ。結構深いところにあるからなー・・・フロウぐらいの探知能力がないと厳しいんだ」

 なるほど、フロウは探知能力に優れているのか。確かに「白水蛇」の中にも探知系の魔術がいくつかあったような気がするな。


「結構正確に予知もできるから、フロウのところに行くんだったら国軍?が来る大体の日も聞いておきたいところだな!」

 それは俺も知りたいところだ。正確な日取りが分かれば万全の準備をすることができる。




「じゃあ明日フロウのところへ行こうぜ! ツルハシとか持ってけば....」

「私の名前を読んだか?」


 声のした方向を見ると、会談の踊り場の窓の外に一匹の白蛇がいた。


「噂をすれば....ってやつか」

「朝の占いで龍のこと人の子が見えたのだ。いろいろ災難だったようだがな」

「知ってたなら教えてくれ! 危うく死にかけたんだぜ! まったくよお!」

「フロウ、げんき?」

「うん? 勿論元気だ」

 オーガがフロウを中に招き入れてにこにこしている。この二人がおじいさんと孫のように見えるな。まあ、龍と蛇だから親戚のようなものなのか?


「そうだ、さっきエメラルドがどうとか言っていなかったか?」

 オーガにされるがままになっていたフロウは、思い出したようにシャトーに聞いた。


「ん? ああ、実はかくかくしかじかでな....」

 シャトーも思い出したように答えた。言った本人が忘れるんじゃない。


「なるほど....ふむ...」

 シャトーのかなり雑な説明を聞いたフロウは、少しの間目を瞑り、ゆっくりと開いた。


「その....国軍とやら来るのは今日から三日後....の日の出前、といったところか。規模は....大したことはないな。ざっと1000か1500か」


 大したことあるのだが? 1500は大したことあるぞ?


「....奴らを倒すために大魔導書集が必要で、素材のエメラルドが必要なのか」

 かなり常識人なフロウとですら価値観が合わない俺を置き去りにし、フロウは俺達の置かれた状況を的確に把握していた。


「そうなんだよ! お前なら良質なエメラルドがある場所を知ってるんだろう?」



 フロウはこくりと頭を動かした。




「もちろんだ。この森で私が知らないことはないぞ」






 

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