幻獣の宿命
「お。その反応は『大魔導書集』が何か知っているのか?」
驚きのあまり目を見開いた俺を見たシャトーが意外だと言わんばかりにこちらを見た。
「一応魔術師の端くれだから、名前ぐらいは、な」
現物など見た事はないし生きているうちにお目にかかれるとも思わなかったがな。
「だったら話が早い!『幻獣の宿命』は五つの魔術書のことを指すんだがな、リリス坊は『炎鳥の翼』はもう持ってるから....あと、『魔狼の咆哮』もか」
「りりす すごい!」
「そうなのか。じゃああと3つで.........今なんて言った?」
俺の聞き間違いでなければ『幻獣の宿命』は後2つということになるのだが?!というか、炎鳥と魔狼も大魔導書集の一部だったのか?!確かに強いとは思ったが.....
「ん? 聞こえなかったか?」
いや、違う。聞き間違いかと思っただけだ。いや、そもそも何故取得した時に行ってくれなかったんだ...
「じゃあ次に行くぜ! 残りは『人魚の誘い』『大鷲の爪』『普見者の瞳』だな。材料がフロウのとこの水と魔法石、あとは水晶と....セイレーンの鱗、鷲の羽、エメラルドか」
前半は炎鳥と同じだな。後半はそれぞれから手に入れなければならないのか....クルスの言い方だと国軍が来るまでにあまり時間がないようだが、間に合うのか?
「シャトー、じかん ある?」
そのあたりはオーガのほうが分かってるらしく、心配そうに尋ねていた。
「んー、そうだな。確かにあと1週間以内には来そうな気がするから........仕方ないな」
しばらく考え込み、そして顔を上げたシャトーは何かを決めたようだった。
「オレのコレクションを使うか。来てくれリリス坊。これぐらいならあるはずだからさ!」
一般人が手に入れれば一生遊んで暮らせるレベルの素材に対しての呼び方とは思えないシャトーの言葉を聞きながら俺とリリスは歩き出したシャトーの後をついていった。