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来てほしくない人 9

「取り敢えず......『王国魔術師団』 っていうのは?」

「....それは俺が説明しよう」


 オルシア王国魔術師団、俺もよく耳にする名前だ。王宮には強大な敵やモンスターに対抗するために様々な部隊が編成されている。騎兵団や槍部隊、召喚士団などがある。


「魔術師団はオルシア王国にある対侵攻部隊の中でも有数の精鋭部隊....その名前の通り、魔術を主な攻撃手段として使用する魔術師で編成されている」


 攻撃術師以外にも回復、防御、罠、妨害などを主とする部隊も編成されていて、必要に応じて混合部隊を組むという形で活動している。


「で、名誉団員、というのは、元々その魔術師団に在籍していた、今は一線を退いている者の中で特に優秀な魔術師に贈られる称号なのだが....」


 目の前にいるこの人が、その名誉団員、ということか。


「なあ、それって、どのくらいすごいんだ?」

「そうですね....まずこの称号を贈られる時点で大変名誉なことですから、名誉はもらえますよ。あと、一生困らない程度の金品と、それ相応の住まいが与えられます」


 だいぶ豪華だな。


「まあ....この王城よりはかなり狭いですが」


 当たり前だ。これより広い一人暮らしの家があってたまるか。


「じゃあ、まあ....これはいいとして....『死の讃美歌』 は、まあ、ほっとくか」


 そうだな。大体どういう系統の魔術を使うかは聞けばわかるしな。



「ちょっと、ちょっと待ってくださいよ! そこは聞いておく場所ですよ!? 『死の讃美歌』 ですよ?! かっこいい! とか言わないんですか?!」


 いや、幻獣王様の黒龍(もっとかっこいいもの)がこちらに入るからな。あと何故か人型になっている築2000年のお城、とかもな。


「オーガのほうが、かっこいい!」

「そうだそうだ! オーガのほうがカッコいいんだぞ!」


 自分で言っちゃだめだろ。


「でも、でも、使う魔術とかぐらいは聞いてもいいじゃないですか!」


 勝てないことは認めるのか。でも、俺はもう大体分かったぞ?


「いや、別に気にならないというか....」

「私が使うのは、主に状態異常です! 『死の讃美歌』 というのは私独自の魔術でして、幻聴を聞かせて相手の精神を壊すんです。先ほど竜王様とおつきの方にも使おうかと思ったのですが....リリス様がいらしたので」


 勝手に話し出したな。状態異常系だとは思っていたがな。攻撃を主としているのであればさっきシャトーと戦っていた時に無理やりねじ伏せたはずだ。俺たちのもとに来た時だって、遠くから槍で刺せばリスクが減るのに、()()()()()()()()()()突っ込んできた。


「やっぱりか。やけに攻撃より破壊が多いと思ったんだよなあ」

「それは、動線を確保するためです。私は状態異常に特化しておりますから、『死の讃美歌』 抜きで龍王様に止めを刺すのは難しいんですよ。ですから、対闇魔術の素材で作られた短剣に、ありったけの光魔術を込めてですね....機会を伺っていたんですよ」


 恐ろしい物を持ってきたんだな。というか、オーガに闇魔術って....




「悪いが.....オーガに闇魔術はそこまで効かないぞ? というか、大体のヤツに耐性があるから....独自とはいえ人間が作り出した術は......」


シャトーの申し訳なさ0パーセントの言葉を聞いたクルスは、しばらく固まっていた。

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