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来てほしくない人 6

「オルシア国王の?!」

「こくおー?」

「命令?!」


 とんでもなく偉い人間からの命令だったのか。しかしなぜ?オーガの話から察するに、長い間城から....いや、少なくともこの森からは出ていないはずだ。国王の命令ということは、よっぽどのことをやらかしたのか?


「ええ。私は国王陛下の命令を受けて直々にこちらに赴いたのですよ。ま、リリス様がいらしたのは予想外でしたが」


 ハッタリではなかったのか。というか、このクルスという男も、シャトーと張り合えるということはかなり強いのだろうな。だとすると王国側もかなり本気なのか?


「おいおいおいおい!勝手に森に入ってきたのはそっちだろ! こちとら王国すら行ったことがないんだぜ! かわいいかわいいオーガがなにしたっていうんだよ!」

「オーガしらない! なんにもしてない!」


 そうなんだよなあ....そもそも人間と仲良くしたいから人間の姿をとっているオーガが、必要以上に人間に危害を加えるはずがないんだよなあ。


「とぼけるのもいい加減にしてください。確かに森に攻めていった国民を攻撃するのは勝手です。ですが、忘れたとは言わせませんよ。あなた方は40年前に我々の国に攻めてきたではありませんか」





「お前らそんなことしてたのか?」


 お前らそんなことしてたのか?


「そうですよ、リリス様。この悪しき黒龍は40年前、我がオルシア王国に災厄をもたらしたのです」


 まあ、それなら殺害命令が出てもおかしくはないが....


「ちょっと待ってくれリリス坊! とク、ルス? それは誤解だ!そもそもオルシア王国の場所すら知らないんだぜ!」

「オーガ、ちがう!」


 こちらも今までに見たことがない勢いで反論している。だが、クルスだって確固たる意志を持って未開の地(ここ)に来ているのだから、嘘をついているとは考えにくい。


「はっ、言い逃れはできませんよ。炎を吐いて大空を飛ぶその姿。見間違えるはずがありません。災厄の際に貴方と対峙したガルーン様がおっしゃっていたのですよ? つい先日の大規模討伐でもその姿を見たと」



 ......ん? つい、先日?


「おい、今 『つい先日』 って言わなかったか?」 


 シャトーも何か引っかかったらしい。


「はい、言いましたよ」

「その 『つい最近』 っていうのは、1週間ぐらい前のことじゃないだろうな?」

「そうですね....帰城した日から逆算すると......大体そのくらいになりますが、どうしましたか? なにか、思い当たる節でも?」


 思い当たる節しかないが、1つだけ聞きたいことがある。


「クルスさん、1つ聞きたいことがあるのですが、その 『龍』 は、大規模討伐....のときも火を吐いていたのですか?」

「ええ。それはそれは黒い炎を」



「......おい、リリス坊。俺たちって炎噴いたか?」

「いや? そんな自殺行為すると思うか?」


人間の姿をしたシャトーがいつもの距離感で耳打ちをした。それだとちょっと近いかもしれない。


「だよな。しかもオーガは森が燃えることが分かってるから、滅多に火は使わないぜ?だとすると、あいつ....40年前のことも含めて大きな勘違いをしていないか?」

「そう、かもしれないな」


 つまりシャトーの言いたいことは......クロスと王国は、オーガと炎鳥を勘違いしているのではないか、ということか。


「だったら、オレがちょっと確かめてみるぜ!」


 オーガは不審な顔をしているクルスに向かって左手を前に出した。


「なあ、そこの魔術師! お前らの言う 『黒龍』 っていうのは、こういうやつじゃないのか?」


 シャトーが展開した魔法陣からは、炎鳥を討伐する前に俺に見せた数分の一スケールの炎鳥が浮かび上がっていた。


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