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来てほしくない人 2


 明らかに人を出迎えるものとは程遠い爆音に俺は首をかしげた。


「....なんだ?」

「りりす?」


 日光が気持ちよくてうとうとしていたのかオーガはふわふわした声だった。


「いくらの常識が無い城(シャトー)でもおもてなしとは思えない音が聞こえた。多分爆発音だろうな」


 そう言ったはなから2、3回目の轟音が聞こえた。先程より音源が近いようだが。......音源が近い?!


「ばくはつ?」

「そうだ、今聞こえただろう?さっきよりこの部屋に近くなっている。あまりいいものの類ではないだろうから、早いうちに避難しよう」

「ん、ひなん!」


 多分非難の意味を分かってないだろうが、聞き分けがいい。取り敢えずこの部屋からは出るとして、どこに逃げるのが最善だ?音しか聞こえないから姿かたちは全く分からない。ただシャトーが手間取っているという事は、魔狼ぐらいの強さがあると仮定したほうがいいか。


「オーガ、近付いてくれ。....『炎鳥の翼』」


 これで出合い頭に即粉砕、というのは防げただろう。後はこの部屋から出るだけ




「りりす、おと、おっきい!」


 いつの間にか人型に戻ったオーガの声がすると同時に今までで最大怨霊の爆発音が響き、大広間の扉を粉砕した。


「不味いな、『ハヤブサ』!」

「ん!」

 よくわからないものは相手にしないほうがいい。俺は移動速度上昇の魔術を掛け、オーガも多分そう言う類の術を使い、広間からの脱出を試みた。




 が



「出れない、な」

「かべ?」


 爆発した入り口とは反対方向の扉から逃げ出そうとしたが、どうも何らかの障壁が張られていたようだ。透明な壁に阻まれ、出ることができない。


「オーガ、最大出力を許可しよう。これを壊すことはできるか?」

「やってみる!」


 音源がこちらにやってくる前にここから出たい。オーガがふん!と壁を押してみた(多分何らかの術を使っている)が、静かに首を振った。


「ん....」

「無理か」

「かべ、シャトーつくった」

「シャトーが?」


 どうやらこの幻獣の王は誰が掛けた魔術かさえもわかってしまうようだ。俺はてっきりシャトーではないほうの音源かと思っていたが、掛けたのはシャトーか。


「この部屋から出るな、という事か」


 シャトーが掛けたのであれば、なんらかの意図があるはずだ。この場合はここに居たほうが安全であるから動かないで欲しい、という事だろうか。


「りりす、どうする?」

「そうだな、シャトーがかけた以上この中に居るしかないだろう。外からも中からも出入りができないという事は、安全という....」



 俺がオーガに言い終わる前に、扉がなくなりさらに聞こえがよくなった大広間に爆音が響き渡り、さらに高速で何かが突っ込んだ。


「......はあ?」


 勿論障壁か破壊され、全く安全ではなくなった大広間。オーガ共々唖然として立っていると、煙の中からよく知った声が聞こえた。


「いやー・・・・派手にやってくれるなあ!オレの!なかでよぉ!」



 しかし、煙の中に立っていたのは俺がよく知っている能天気に宙に浮く燭台ではなく、深緑色の短髪で、青空のような色の瞳を持ち、黒色の上着に身を包んだ人間だった。




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