2 今の暮らしは
今私、田嶋優花は今朝始めてあった先輩の家に来ていた。
異性の。
はぁ、分かる。言わんとしていることは。
可笑しいだろうと。
頭可笑しいだろうと、そう言いたい方は多いだろう。
貞操観念から言いこの行動はおろかにもほどがある。
しかも、私から付いてきなのだから、何をされても文句は言えないわけだ。
でも、彼は、かつての彼女なのだ。
今俺の前、あーっと、私の前で胡座をかいて座っているのはかつての彼女なのである。
今は、女らしさなど微塵もなく、寝癖の付いた髪を適当に縛っている。
髪を整える気が無いなら、切ってしまえばいいのに。
「で、ゆうくんは、死んじゃったの?」
「うん。あの後すぐに。」
「ふぅ~ん。………まさか、」
「ああ、違う違う、自殺じゃないよ。君の遺書読んだもん。」
「そうか……」
ふう、と胸をなで下ろす。
彼女の(今は彼だが、)ののこした遺書というのに書かれていたことは三つ。
・母親を頼むね。
・ゆうくんは、長生きすること。自殺とかしたら駄目だよ!
・お願いだから、押し入れの中の段ボール処分して、
とのことだった。
「あっと………じゃあ……」
ぽりぽりと頬をかきながら照れたように呟く。
何を言いたいのかはだいたい想像が付くので、頷く。
「バッチリ、処分しといたよ。」
「よ、良かったぁ!!ありがとな!」
バシバシと背中を叩いてくる。
今はもう、男の体なんだから、力加減を学んでほしいものだ。
痛い。
女の体って筋肉なくて打たれ弱いんだから。
「あの、痛いよ。」
「あ、うん。ごめん。」
ちゃんと止めてくれたよ。
さて、そろそろ本題を切り出すとしよう。
「ねえ、美月。まだ、やってるの?」
「……………。」
「止めろとは言わないけどさ、今度こそばれたら大変じゃない?お母さんにばれたら泣かれるよ。」
「そんなこと……ないと思う。」
「たしかにミツキは隠すの上手だけど、隠しきれるとは思えない。」
「う…………。」
俯くと、美月(今世では、都希)は自分の勉強机の真ん中の段の引き出しを出した。
そして、中の封筒を取り出す。
「………これは、何所で。」
「親に内緒で買いに行った。」
「そう。よくいけたね。」
「怖かった。」
「だろうね。」
中をチラリと見る。
間違いない。
あれだ。
「はぁ、美月さ。男になっても腐女子続けるつもりなの?」
「仕方ないじゃん!好きなんだもん!」
さて、皆さんお気付きでしょう。
この美月という女は、根っからの腐女子であり(今は腐男子)であり、死後彼氏にそれを隠すようさせたどころか、生前、無理矢理読ませてきたり、剰え原稿の手伝いをさせてきたりと、傍若無人な行動を数多くしてきたのである。
セクハラですよ。
これも、個性だと言われればそこまでですが、いや、彼氏としては、彼女のすべてを肯定しようという意気込みでしたが、別に腐男子じゃないので、見せられても困る。
大きく否定するつもりもないので、彼女は腐男子だと勘違いしているのでしょう、ですが、言っておきたい。
僕(今は私)は別に男性同士の恋愛が好きなわけじゃないのである。
それを、生まれ変わりまた出会えた今、はっきり言ってやろうと、そう思うわけであります。
だがしかし、ここで一つ問題がある。
生まれ変わった彼女は、かなり、かなり怖い。
見た目が。
つりあがってまーーす!目がぁ!
え~。なにこれ。
いや、格好いいよ。前世付き合ってたひいき目抜いても格好いいけどさ、目つき悪くない?
「あの~。怒ってる?目が怖い。」
「いや、別に。」
あ、真顔でそれ。
ごめんね。いや、なんだっけ、蛇に睨まれたネズミ?猫に睨まれたナメクジ?マングースに睨まれたハブ?なんかそんなのあったよね。
それ、まさにそれ、
ちょっと怖くて固まりますわぁ。
前世から、こう、気の強いというか、クールというか、割と、格好いい顔つきではあったのよ。女の子にしては。
でも、性転換したらこうなるとは、誰も思ってないわけで。
かみさまぁ……何してんの?
返してよお!あの戸惑った時の花も恥じらう微笑みを!!
柔らかくてこの世のすべての可愛いと美しいと神々しいをぐっちゃぐちゃに混ぜてまとめて焼き上げて愛おしいと言うソースを掛けたハンバーグくらい凄かったんだからな!
あの笑顔だけでご飯三杯いけたんだからな!
お前知らないだろ!
えーい、もうままよ!と
僕、いや、私は立ち上がると、美月(都希)の肩を掴んだ。
「う……え?ど、どうしたの?ゆう…くん?」
「………っ…。かみさまぁ……」
「はぇ?」
いたよ。どこにもいないと思ったら、こんなとこにいたよ。
なんだよ!何で男のくせに頬赤らめて笑ってんだよ。
くっ…、ころレベルだよ?ほんと巫山戯んなよ。
と、まあ、私の頭の中は大変なことになっていたわけだが、
本題は、ちゃんというよ!なんてったって元男、自分の使命は果たすさ!
「美月。僕ずっと黙ってたけd…」
「都希君。お茶が入ったわよ~。ってあらあら、」
「か、母さん。」
「可愛い女の子がきてたから、彼女でも出来たのかと思ったけど、やっぱりそうなのね。お父さんにはばれないようにするのよぉ~。」
「ち、ちがぁ」
「す、すみません、僕」
「あらぁ…ぼくっこってやつ?お母さん、隣の喜美ちゃんから聞いたわよ。いわゆる一つの萌え要素とかなんとか、お母さん難しいこと分かんないけど、貴方たちが仲良しならそれでいいわぁ~。」
「だああ!もう、下行っててよお母さん。」
「はいはい。じゃあ、ごゆっくり、言っとくけど、不純異性k」
「母さん。それ以上言ったら殴るよ。」
「あらこわい。」
嵐のよう……って多分あんな人だと思う。
つかみ所がないというか、究極の天然というか、
あれが、今世の彼女の母親かぁ。
前世とは大違いだ。
ばれても笑って終わるんじゃないかという考えも浮かんだ。
「はぁ……ごめん。」
「いいって。………美月ちゃん私のこと襲ったりしないでしょ。」
「………女だからなぁ。新刊のネタにもならん。」
「うへぇ。その考え方、モテないよ。」
「いいよ別に。」
な~んか、嫌な部分掘り起こしちゃったよ。
前世から、腐女子仲間いないからって僕にセクハラ発言止めて欲しい。
「あー、言おうとしてたんだけど。私別に腐女子じゃないから。前も、腐男子じゃなかったし。」
「へぇ。………………へ…ぇ……」
おっと、思考が停止しているぞぉ。
今回は、ここまでにしておこう。
それでは、
***
こんにちは。まりりあです。
さあて、困りました。私自身、別に腐女子じゃない。と言うか、女の子の方が……んっんっ、失礼。
と言うわけでなぜこんな話を書き始めたかはさておき、余り詳しくそこんところを書けないわけです。
まあ、あくまでラブコメ気取ってますので、大丈夫ですよね。
まあ、青春ラブストーリーの方が馴染みないんですが。
妹の本読んで勉強します!頑張ります。
誤字脱字ありましたらどうぞお知らせください。
それでは、またの機会に。