92.事情 怒
自然に崩れたというより、誰かによって無理やり壊されたような、橋脚が無事なのに端の中央部分だけが壊れて落ちてしまっている。これは、救援が来たとしても時間稼ぎになるように壊したのかな
橋から道沿いに進んでいくと2分もせずに村の姿が見えてきた。
荒れた村、家の扉や窓が壊されている。
「パパ! ママ!! お姉ちゃん!!!」
車体の上から女の子は村に向って叫ぶけど、返答は返ってこない。いまや無人の廃墟と化している。
前にも盗賊にやられたと思う街道の村を見たけれど、それと同じくらい荒れてしまっている。比較的新しい事くらいの違いしかない。
「急いだ方がいい。 リョウあの後を追うぞ」
指差された方向には、たぶん荷馬車の馬の荷車だと思う轍が刻まれていた。まだ随分新しい。
再び女の子を車体に乗せ、轍の後を辿っていくと1時間くらい経ったところで、男の人たちだけがこちらに向って歩いて来るのが見えた。まさかとは思うけれど、そのまさかだったら自分は許したくない。
女の子は車体から降りると駆け寄っていく。やっぱり村人だったみたいだけど。
「パパとママ、お姉ちゃんは!?」
「それは……」
目を背ける村人達からは、ばつの悪そうな雰囲気を感じる。それも第三者である自分でさえ分かるほどに。
「貴様ら、女達を身の安全の代わりに売ったな?」
「いっいや、……そんなことは」
カイが指摘すると分かり易いほど動揺し、俯きながら否定しきれていない反応から、考えたくなかったまさかの答えがあってしまったみたい。
権力者に媚を売るのは現代でもよくあったことだし、弱肉強食に近いこの文明世界ならとても仕方ない事だと思う。中世時代とか地球の現代よりもそういう面が酷かったはずだし。
それでも、頭では理解しても感情ではやっぱり許したくはない。
女の子も理解できたのか、涙を流しながら村人達を睨んでいる。
「そ……そんな目で」
「そっそうだ! この娘も捕まえて突き出せばきっと村を出て行ってくれるぞ!!」
「そうだ! 突き出しちまえ!!」
さらに女の子まで捕らえようと考えているなんて、追い詰められるとどこまで人として堕ちていくのだろう。
向ってくる村人達から守る為、念動力で女の子を掴んで車体の上に載せ、12.7mm重機関銃M2で村人達の前を撃ち抜き土煙が上がる。
何が起きたのか理解できず村人達は尻餅を着いた。
「女共が哀れだ。 こんな奴等の身代わりにされるとはな」




