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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
92/313

92.事情 怒

 自然に崩れたというより、誰かによって無理やり壊されたような、橋脚が無事なのに端の中央部分だけが壊れて落ちてしまっている。これは、救援が来たとしても時間稼ぎになるように壊したのかな

 橋から道沿いに進んでいくと2分もせずに村の姿が見えてきた。

 荒れた村、家の扉や窓が壊されている。


「パパ! ママ!! お姉ちゃん!!!」


 車体の上から女の子は村に向って叫ぶけど、返答は返ってこない。いまや無人の廃墟と化している。

 前にも盗賊にやられたと思う街道の村を見たけれど、それと同じくらい荒れてしまっている。比較的新しい事くらいの違いしかない。


「急いだ方がいい。 リョウあの後を追うぞ」


 指差された方向には、たぶん荷馬車の馬の荷車だと思う轍が刻まれていた。まだ随分新しい。

 再び女の子を車体に乗せ、轍の後を辿っていくと1時間くらい経ったところで、男の人たちだけがこちらに向って歩いて来るのが見えた。まさかとは思うけれど、そのまさかだったら自分は許したくない。

 女の子は車体から降りると駆け寄っていく。やっぱり村人だったみたいだけど。


「パパとママ、お姉ちゃんは!?」


「それは……」


 目を背ける村人達からは、ばつの悪そうな雰囲気を感じる。それも第三者である自分でさえ分かるほどに。


「貴様ら、女達を身の安全の代わりに売ったな?」


「いっいや、……そんなことは」


 カイが指摘すると分かり易いほど動揺し、俯きながら否定しきれていない反応から、考えたくなかったまさかの答えがあってしまったみたい。

 権力者に媚を売るのは現代でもよくあったことだし、弱肉強食に近いこの文明世界ならとても仕方ない事だと思う。中世時代とか地球の現代よりもそういう面が酷かったはずだし。

 それでも、頭では理解しても感情ではやっぱり許したくはない。

 女の子も理解できたのか、涙を流しながら村人達を睨んでいる。


「そ……そんな目で」


「そっそうだ! この娘も捕まえて突き出せばきっと村を出て行ってくれるぞ!!」


「そうだ! 突き出しちまえ!!」


 さらに女の子まで捕らえようと考えているなんて、追い詰められるとどこまで人として堕ちていくのだろう。

 向ってくる村人達から守る為、念動力で女の子を掴んで車体の上に載せ、12.7mm重機関銃M2で村人達の前を撃ち抜き土煙が上がる。

 何が起きたのか理解できず村人達は尻餅を着いた。

 

「女共が哀れだ。 こんな奴等の身代わりにされるとはな」

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