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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
2章 歪み
305/313

305.選択してきた結果

305.町を 地獄

 一週間静かに過ごしてみたところ、治安も良い上に商業が盛んで、教団の人達が当たり前のように歩き回り、教会はとても大きく多くの人が訪れている。

 新たに入信する人も多いのか、町の外から来ただろう旅人や商人の人達も、広場で滞在している時に声をかけているアルスト教団の人達と何度か話しワインやパンを受け取っている間に、入信すると言って教会に向かっていく。


「まぁ、一回は受け取るよ。 代わりにこれを持っていっとくれ」


 毎日訪れるので、イルレさんは一人分だけワインとパンを受け取り、かわりに少しのお金を渡した。断ろうと言う教団員相手に、商会だから無料なんてありえないとと押し付けるように渡した。

 なんとなく怪しさを感じたのでその後も誰も口を付けず、カイも何かが入っているだろうから飲まないほうが良いというなか、アキュラさんが興味本位から少しだけとワインをひと嘗めして吐き出した


「カイさんの言う通り、舌がピリピリして何かワインじゃないものが混ざってる」


 アキュラさんは普段からいろんな毒に近い物を摂取しているので、なんとなく違和感に気付いたらしい。

 荷車から以前に錬金術師や医術士から購入した道具を取り出し、ワインの中身を違うモノと混ぜたり、小さな鍋に入れて火にかけたりと、何が混ざっているのか調べ始めた。


「パンは、埋めて片付けてるよ。 さすがに危険だから」


 イルレさんは荷車の裏に回り、道からは見えないように穴を掘ってそこにパンを埋めた。


「アキュラ、煙や蒸気は吸わないように気を付けろ」


 カイに言われた事に頷きアキュラさんは作業を進める。

 ワインに混ぜられているのはたぶん以前に焼き払い施設を壊した魔薬、お近づきの印として渡された依存する飲み物。微量に入っている魔薬に依存し、そしてまた惹かれるように訪れて飲み、繰り返し訪れるうちに町から離れられなくなり、そして教団に入ってしまう。

 そしてもっと薬が入った飲み物や食べ物を得るために教団に貢献し、最後は直接的に摂取するようになる。他の地域にあった魔薬の畑と設備は潰したのだけれど、この辺りにもあるのだろう。


「この町から出た方がいいんじゃない?」

「笑顔が張り付いているのに、嫌な感じが抜けない」

「危険」


 護衛の皆も良い感じがしないらしく、ずっと警戒しているので少し疲れ始めていた。


「食料を買い込んで離れましょう」

「そうだね。 おちつかないよ」


 混ぜ物が出来ないだろう野菜や麦などを買い込み、町を出て西に二日ほど進んだ街道沿いの広場で留まり、一日置いてから屋台と露店を開く。


「やっと一息付けるかな」

「売れる為に混ぜ物をするねぇ。 なんか嫌な感じだよ」

「ああいうのは嫌です! 料理が売れても全然うれしくないです!」

「気が休めない町なんて冗談じゃないよ」


 イルレさん達も護衛の皆も何かと落ち着けない場所だったらしく、広場で今一息ついている。


「さて、久しぶりに料理の腕を思いっきり振るうから皆期待してなよ」


 トリグの町では目を付けられないように抑えめに料理をしていたので、街道でエイケさんとアウグさんは思いっきり料理の腕を振るうらしい。

 幸い街道を通る行商人が野菜を取り扱っていたり、時折出てくる野生動物を狩って食べ物に困る様子はない。廃墟の町や村々を超えた後と前では色々異なっているのは、意図して教団が境界線を引いているような気がしてならない。


「おやすみ~」

「みんなおやすみない」

「しっかり守っているから、安心して寝なよ」


 夜になり、皆が寝静まったあとは護衛の人達が焚火に当たりながら警戒に当たっている。狼のステアーも夜になると車体の上に移動し寝転がりながら周囲の音に耳を向け、時折首を起こして周囲をじっと見ていた。

 その静かな夜が自分にとって色々考える事が出来る時間。

 アルスト教団の町、国境を越えて商人も訪れ、王都よりも秩序があり活気と人々に溢れている。それでも、まとめ上げているのは教団の法と魔薬、それはとても危うく、教団内で悪用されれば強烈な悪意となって周囲に広がる。

 トリグの町を見て推測に過ぎないけれど、王都より東側は目が届きにくい事から十全に発揮された悪意、恐らく教団内でも悪質な行動の中でも極まっている。だからこそ、今の教団はいつでもその形に転がる可能性があった、トリグの町が、アルスト教団が丸ごとそうなる可能性だってある。


 どう思考をめぐらして回避しようとしたところで、判断をしなければいけないことわかっている。するべき行動に他の選択肢はない、トリグの町はたぶん生活している人達は1000人もいないくらいのはず。

 アルスト教団の教義によって安定し繁栄している町。


[条件を満たしました。 99式自走155mりゅう弾砲、75式自走155mmりゅう弾砲、99式弾薬給弾車、MLRS、75式130mm自走多連装ロケット弾発射機、他戦車牽引ver4、遠隔操作3、遠隔操作4、遠隔操作5、を開放します]


99式自走155mmりゅう弾砲:10000SP

99式弾薬給弾車     :5000SP

75式自走155mmりゅう弾砲:8000SP

MLRS          :12000SP

75式130mm自走多連装ロケット弾発射機:7000SP



スキル:他戦車牽引ver4 6000SP

備考:牽引可能数が6台に増える。


スキル:遠隔操作3 2000SP

備考:100m離れた場所まで車両3台を遠隔操作できる。


スキル:遠隔操作4 3000SP

備考:200m離れた場所まで車両4台を遠隔操作できる。


スキル:遠隔操作5 4000SP

備考:400m離れた場所まで車両5台を遠隔操作できる。


 潤沢にあるSPで全てを導入する、今までは感謝していた新たな力、だけれど今は分かる。目的を実行させるために与えられているだけ、自分がそのことを意識せずに、違うことに使用していただけなんだってことに。今はこれで、町を、今町にいる人達ごとアルスト教団を消せと何かに言われている。

 自分が最優先でアルスト教団を排除して回っていれば、ここまで多くの人達がアルスト教団員にならず、魔薬に依存せずに済んだはず。これは自分が直接手の届く範囲を優先した結果、だからやらないなんてことはできない。


「少し用がある。 皆はここで待機していてくれ」


 カイは気付いたみたいで、単独行動をみんなに伝える。皆の前で町を滅ぼすなんてこと、できるはずもない。


「カイさんなら大丈夫だと思うけれど、気を付けてね」

「いってらっしゃい」

「あんたなら大丈夫だが、こちらは大勢で来られたら逃げるからな」


 皆に見送られながらトリグの町へと向かうけれど、これから実行しなければいけないのは、無差別大量殺戮。

 辛い気持ちのまま街道を進み、途中で99式自走りゅう弾砲に車体を変更、りゅう弾砲というものが対歩兵や建築物に向いた、多数を相手にするのに向いているらしいくらいの事しか知らない。

 だけれど今回、MLRSというロケット発射車両に75式130mm自走多連装ロケット弾発射機という車両も、ロケットと言うものがりゅう弾砲よりももっと多数を相手を対象としている事も知ってる。

 4台全てを牽引車両とし遠隔操作、感覚として伝わってくる撃てば大まかに到達する場所、そこ半日進んだ先にはトリグの町があり、感覚的に理解できる着弾地点へと全ての照準を合わせた。


「神様仏様精霊様ご先祖様、どうかこれから自分がすることを、どうか許さないでください。 記憶が時と共に色褪せず、苦しみ続け、救う為に努力することを忘れないように、自分を忘却で救わないでください。 決して慣れさせないでください」


 願いと共に撃ちだされた轟音と閃光の下、砲弾とロケットが夜の闇を越え、時間が経ち降り注いでいく。遠方から大きな爆発音と爆発の光が見える。声は聞こえない。だけれど目標である町には当たったと言う事だけはわかる。

 多くの人が死んだはず、関係なく初めて訪れた人もいたはず、それでも感覚で伝わってくる人が多くいる地点を目掛けて再び狙いを定める。

 弾薬給弾車両からベルトコンベアで自車両に接続され、素早く弾が装填されていく。そしてゆっくりとだけれどもう一つの榴弾砲に、ロケットの方も再び装填が進められていった。

 感覚では町を守る城壁の門を壊した、これで町の防壁の中に人々は外に出る事は難しなったはず。再び撃ち放たれた砲弾が空の闇に飲み込まれ、町へと落ちていく。


「……恨んでもいいです。 許さないでもいいです。 それでも、見逃す事は出来ない」


 撃つ度に多くの人が死んでいく、アルスト教団も、ただ町に住んでいた人達も、旅で通りがかっただけの人達も、町で生きていた全ての生命を奪う、満遍なく町全体に攻撃が降り注ぐように命を奪ってしまう。




 夜の闇が終わりを告げ、朝日が昇り始めた頃に撃ち続けるのを止める。


「……もう残っていないと思う。 感覚の中に何かを壊す事がもうないから」


「そうか。 確認にいくぞ」


 全ての牽引を辞めティーガーⅡに車体を変更し、カイと共にトリグの町を見に行くと何も残っていなかった。

 崩れた防壁、潰れた建物、火事が起きたのか燃え炭となった材木、砕け散った人間の残骸、これを全て自分がやったこと。余りの状況に悲鳴と絶叫を上げてしまいたい。

 これを自分がやった事ではないと、命令された事だと言ってしまいたい。でも、これは自分が選んできた全ての結果、目も耳も塞がず、辛くても耐えきれなかったとしても、受け止めて他者を救える方法を考え続けるしかないのだから。


「念のためアルスト教団の教会を見にいく」


 カイは周囲を見回し、崩れた建物の残骸や人だったものを眺め、言われた道を進む。元大通り進んだ先にあった大きな教会は焼けて崩れ、焼け残った材木が炭になり転がっていた。


「どうやら、少しは生きている者がいるな。 この周辺の瓦礫をどかすんだ」


 カイに言われた通り念動力で瓦礫をどかすと、木材で蓋がされた地下への階段が出てきた。それなりに深いらしく、階段の奥は光が十分に届かないので薄暗い。


「少し待っていてくれ」


 カイは車体から降りて地下への階段を降りていくとすぐに中から男の怒声と悲鳴が聞こえてきた。地下に逃れていたのは、アルスト教団員で間違いないんだろう。 

 少ししてカイが女性が2人と共に階段から出てきた、2人はぼろぼろの服を着ている上にあざもあって怯えている。


「無事なのは2人だ。 少しの間は魔薬の影響で苦しむだろうが、教団に捕えられて8日ならまだなんとかなるだろう」


 表は綺麗で、治安が安定し活気に溢れたトリグの町でも、当たり前のように奴隷が居て、アルスト教団によって薬も広がっていた。

 捕えられていたのなら、やはりここでも教団は東側と似たようなことをして、何も本質は変わらない。それが表立って行っているか、隠れて裏でやっているかの違いなだけなんだろうか。


「北西に最後の支部、魔薬の生産もそこで行われているそうだ。 聞き出した奴らの話では教団員はそこに集められている」


 このトリグの町もこの世界の標準と何も変わらず、そして追加して教団の教えもありそれが理由となってしまう。当たり前のように取引される奴隷も、アルスト教団だけと言う訳ではないけれど、アルスト教団の教えと魔薬が無くなるだけでも、少しでも変える事が出来るなら。


「行こう。 教団支部はまだ残っている」


 何も言う事が出来ないけれど、カイに促され廃墟となったトリグの町を離れるため、無事な馬車を探すけれど一つもなく、比較的無事な荷車に2人には乗ってもらい皆が待つ場所に向かう。

 でも町を出るその前に、町の中央の広場周囲の建物や人の亡骸を片付け、納入品一覧の中にある桜の苗木を一本取り出して植えたあとカイが彫っていた像を備える。

 自分が行った事、死んだ人達にはこの世を彷徨わずあの世に行って欲しい。勝手な言い分な上に未練や苦痛を与えた側だけれど、最後にできる事はこれしかないから。

ざっとした簡単な説明:

99式自走155mmりゅう弾砲

日本で作られているりゅう弾という砲弾を飛ばして、破片や爆風で歩兵とか装甲車とか建築物を狙います。似たようなものは世界中で作られて配備されてますね。

これがないと、大量の人海戦術で攻められた場合あっという間にやられます。

99式弾薬給弾車

99式自走砲は珍しく完全な自動装てん装置が付いていて、人力じゃなくて弾を素早く機械的に装填できます。給弾車があると、長く撃てます。

75式自走155mmりゅう弾砲

日本で作られているりゅう弾という砲弾を飛ばして、破片や爆風で歩兵とか装甲車とか建築物を狙います。

これがないと、大量の人海戦術で攻められた場合あっという間にやられます。

かなり古いんですが予算がないので最近引退しました。

MLRS

自走多連装ロケット砲という種類の車両

りゅう弾砲より広い範囲を、ロケット弾を大量に撃ちだし面で攻撃するもの。

なんですが、条約で面攻撃できるロケット弾は日本は全部廃棄されました。でも、日本周辺国は調印してないので、面攻撃できるロケット弾もってます。

75式130mm自走多連装ロケット弾発射機

上記のMLRSよりも旧式です。

狙いも曖昧ですしとっくに引退して展示されてるだけです。

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