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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
2章 歪み
295/313

295.料理とお米!!

 怪我人や病人がいきなりくるわけもなく、今まで通り屋台と露店を開いていたのだけれど。


「ミソナベお代わりをくれ!」

「こっちはミソ肉焼きを3本追加でたのむ!」


 食べる量も多いらしく作っても作ってもどんどんなくなっていく。そして煩く豪快だけれとちゃんと順番を守り、店の前にある広場では他の店で売られていたらしいお酒の肴にして宴会をしていた。


「鍋追加して!」

「味噌焼きに使う干し肉を追加でお湯でもどして!」

「干し肉がもうないです! 生肉使っていいですか!?」


 屋台の裏側では慌ただしく料理が作られているのだけれど、売れてゆく方が若干早いみたいで調理が少し追い付いていない。一方で籠などはあんまり売れていないので、閉めてしまいいまはみんなで料理に取り掛かっていた。


「持ち帰りで買えるかしら? お鍋持ってきたのよ」


「ちょっとお待ちください! 次の出来上がりで売れますので!」


 ご婦人なども来るのだけど、家族で食べる為なのかお鍋を持ってくるのでその分一気に減る。


「あんた! 酒飲んでないで帰るんだよ!」


 奥様に引っ叩かれ酔っぱらった旦那さんが鍋を持たされて帰っていく。そんな様子が増えていく頃、夕食時も終わり暗くなったので屋台も占める時間となった。


「はぁ、疲れた。 いくら作ってもすぐなくなるんだから」

「凄い売れ行きですよ! いままでの町で一番です!!」


 エイケさんとアウグさんは疲れた表情ながらも、今までのなかで一番売れたのがうれしいらしい。


「夕食は前にもらったこれを使います!」


 アウグさんがホットサンドメーカーを取り出した。

 色々試していたらしく形が様々な雑穀パンを切り分け、バターをメーカーの鉄板に塗るとパンを入れた後に葉野菜追加、最後に狩猟で頻繁に取れるらしい鹿肉のもも肉を入れて挟んで火にかける。

 うーん、戦車になってから匂いはあまり感じないのだけれど、それでも美味しそうな匂いがするし良い音が聞こえてきた。

 出来上がったものは木皿に置かれ、良い熱気を上げている。


「うん。 やっぱり食べやすいし美味しいね」

「本当に、お風呂と料理だけはこの旅でいいわね」

「おかわり!」


 売り物に出来る量を作れないとしても、皆の食事に使うくらいには困らない。


「簡単だからデュロちゃんも作ってみなよ」


 アウグさんに言われて手袋を付けたデュロがホットサンドメーカーを焚火であぶる。

 難しいようで入れるものを気を付けるだけで、あとは焼き加減を見るだけで出来上がる、わけなんだけれど少し焼き過ぎたみたいだった。やはり何度も作って加減が分かっているアウグさんとは少しだけ違うみたい。


「おいし~!」


 それでもデュロは自分が作ったホットサンドを美味しそうに食べている。

 自分は食事が出来ないけれど、それでもやっぱり誰かが美味しい料理を食べて幸せそうにしているのは気分が悪いものじゃない。



 

 広場で同じような旅商人が取り扱っている品物の中に、今まで見なかった物があった。自分が取り出せるのとは違うし、細長いから品種はまったく違うだろうけど、間違いなくお米。

 まずい麦かつパンにしてもいまいちと言う扱いで、南の方でそれなりの量が取れると言う事で安いとのこと。

 祖母が良く作っていた水あめ、ずっと忘れていたけれど最近使える事はないかと調べている雑誌に乗っていた事もあり、作り方も載って居たし色々思い出せたので今ならちゃんと作れる。

 カイに頼んで買ってもらった大麦とお米。


 大麦を綺麗な水に毎夜漬け込んで昼間は天日で干す、全体的にちょびっと発芽したら最初の準備終わり。

 次に日本米じゃなくてもお米である限り糖はたっぷり、奇麗な水にしっかりと漬け込み、翌朝までふやかしたら鍋で煮る。

 その間に石臼でゴリゴリと発芽した大麦を粉末に。

 煮ているお米がおかゆっぽくどっろどろになったら、発芽大麦を粉末にしたものを加え、たまにぽつぽつと湯気の水泡が出るのを維持しつつゆっくりじっとかき混ぜながら一晩待つ。

 大体お米10対して発芽麦芽は1くらいの割合で投入。この辺は祖母がやっていたのと同じに、発芽麦芽をコップ1杯にお米をコップ10杯という方法。


 祖母は昼食から夕食までじーっと作ってた。掃除したり洗濯したりしながらじっくりじっくりと。


 朝日が出てきた頃になると分離し始めたので、自分が出した布に中身を開けて搾り、搾った液体をまた別の鍋で木へらでかき混ぜながら煮る。

 ブクブクと固まる泡っぽい物を取り除きながら、水分が飛んで鍋底のねばねばしたものがヘラで線を引けるくらいベッタベタになったら小さな壺に移して出来上がり。

 食べるときは二本の棒で丸めながら取り出して、そのまま気泡が入るまでひたすら棒で混ぜて舐めるか、料理に混ぜて使う。

 小さい頃は合成甘味料や保存料が使われたモノを徹底して排除していた母親だったので、祖母が作ってくれる水あめが頻繁に食べられる数少ない甘いものだった。

 工程が多いけど、大体砂糖を作る時だって煮て搾って濾しての繰り返しなので違いはあんまりない。


「……甘いな。 ちゃんと出来上がっていると思う」


 カイに試食してもらったけれど、ちゃんと木のスプーンで掬える程度の粘りと甘みがあるみたい。


「カイさん。 それな~に?」


 デュロがカイが試食しているのに気付き近付いてきた。というよりもほんのりと香る甘い匂いに釣られてきたのかも。カイは少し苦笑しながら新たな木のスプーンを取り出し、少しだけ掬ってデュロに渡した。

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