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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
2章 歪み
289/313

289.長い休息 商会の皆

 ここのところ皆も精神的に疲れているし、自分も疲れた気がする。なので途中で会った複数の行商人から食料を買い込み、町や村に入らず街道を少し離れた川沿いにしばらく留まることにした。

 みんなが洗い物などをしている最中に自分は周りの木を引っこ抜き地面を整え、土と砂利に生木の原木を杭に仮設の壁をどんどん作り、落とした枝木で屋根の部材を作っていく。



 エイケさんはやはり料理に関わる事が一番心が落ち着くし、アウグさんはその手伝い。途中でカイとステアーが狩った猪と鹿の肉で燻製干し肉を作ったり、川で捕まえた魚を最近覚えた虫抜きと泥抜きのために水を入れた桶に入れてる。

 これは魚を捌いた時に虫や泥のために内蔵とりのぞくなら、先にお腹の中が空っぽになるまで綺麗な水で生かして置いたらいいのでは?と医学に関して知識をアキュラさんが気付いたのがきっかけ。

 もちろん生では食べないけれど、美味しくなるんじゃないかと今回が初挑戦。



 ファルさんは荷車内の鉢に植えてある植物の世話をしている。カイに教わった植物の精霊に祈るやり方だったり、肥料とかを考えたりとすごく丁寧に世話をしているせいなのか、渡したイチゴより身が大きい気がする。

 やっぱり植物と関わるのが好きなように見える。



 シグさんはデュロと一緒にステアーを丁寧にブラッシングのようなものをしている。いつも頑張っているねぎらいと言うか、今日のお風呂前に抜け毛とり。

 頭の良いステアーはもはや達観しされるがままになりつつ、ずっと逃げるタイミングを計っているのかもしれない。それを逃がさないのも、意図的に見逃すのもシグさん次第なんだけどね。



 アキュラさんはベレッタさんと怪我について話しているし、なんていうか傍目に見ていただけのはずなのに、アキュラさんはいつの間にかベレッタさんと仲良くなっているのかな。祈りを除けばアキュラさんはカイから医学について聞いているし、ベレッタさんもなんとなく話しやすいのだろうか。



 ベネリさんは無言で石鹸作りを続けている。物凄い集中力と言うか、もの凄い形相で慎重に材料を混ぜたり加えていた。ベネリさんの癖なのだろうけれど、なんていうかちょっとだけ怖い。

 でもその集中力と執念みたいなものがバターミルク石鹸を作り出せたわけだし、作業している間は他の事を考えている余裕なんてなさそう。



 ダリエルさんはまだお茶づくりを頑張っている。最近は麦茶は高いけれど、少しずつ違う麦類や薬草類を混ぜて値段を下げつつ味を上げようとしていた。

 出来上がったものはみんなで飲むので無駄にはならないし、出し殻はファルさんが植物の肥料にしている。



 唯一まだ集中できる事が見つかっていないサベージさん、長い黒髪を後ろに纏めた少しそばかすのある少し背が高くてイルレさんと同じくらいなんだけど、今は石臼をぐるぐると回し麦を粉にしている。何か出来ればいいのだけれど、今のところ思いつくものがない。



 フサフサクラブのトーラスは川に潜り食事をしているみたい。ただ最後に一匹だけは爪で挟んだまま持ってきたのはなんでだろうか。



 自分は引っこ抜いた木を8本地面に突き立て、間にロープを張って枝葉の屋根を乗っけて自分が出来る事はおしまい。最後にカイが煙でいぶして処理を施して野外の休憩所は完成。

 最後に川沿いに半円の様に砂利混ざりの土壁が出来上がったので、次に出入口は自分が塞いで完成。誰かが来ても自分を突破するか、砂利と土混ざりとはいえ50cmはある壁を崩すか、3mある壁をよじ登るかになる。

 とりあえずはこれで安全、ハスタルさん達護衛の人はそれぞれ警戒はしているけれど、二人だけでも十分だと思う。でも仕事熱心なのはとても助かる。



 みんなが調理道具や作業道具を休憩所に持ち込むと、焚火を中心に休憩を兼ねてゆっくりとした時間が流れ始める。

 4~6日位はこのまま留まり、しっかり心身ともに休息を取る予定。

 デュロはステアーにくっ付いてすやすやと寝ている。もうあきらめているのかステアーはため息を付きながら大人しく抱き枕になっていた。

 ステアーにとってデュロは姉なのか妹なのか、何はともあれ仲は良いのは確かなんだけど。



 自分は木材を使って木工細工というか、以前に作ろうとしていたふいご。小さいもので何度か試作して何個もダメにしたけれど、今回は要らなくなった毛皮も貰い、幌布と合わせてようやく出来上がった。

 30cmx10cmx10cm箱形の小さなフイゴ、動かしてみると放出口からはそれなりに風が出ている。あとはしっかりと休んでいるカイに頼んで、あとで渡してもらうだけ。

 あとは気晴らしも兼ねて地道に土壁に手を入れておこう。



 夕方になり皆が食事の準備を始めたので、自分も野外入浴セットと浄水セットで湯船にお湯を入れる。石鹸はもうみんなが作った物があるので出す必要はない。

 久しぶりにタオルも新しいのを出して、というより普段通り車内からカイが持って出て野外入浴テントに入るんだけど。

 お風呂にはベレッタさんと護衛の人達が随分と驚いていたけれど、入ってゆっくりできるとなると特に問題もなく、それにアレコレと慣れてきたのもあって、専属契約とかそういった話もイルレさんがしているらしい。

 仕事報酬に比べて仕事が楽なのと、食住がしっかりしているのが珍しいのだろうか。でもこれは裏切られないためにも必要な事だし、わざわざ食事を護衛の人達だけ別枠で作るなんて無駄はしたくもないだろうし、そんなことをするエイケさんとアウグさんだとは思わない。

 あの二人の料理の情熱は凄い、たとえ失敗作で不味かろうと黒焦げだろうとちゃんと食べて片付ける。涙を流しながら不味い料理を食べている姿を皆も見ているし、その覚悟を知っているから高級な食材や調味料にお金を使う事に誰も文句は言わない。

 苦労故に美味しい料理を作れるのは知っているのだから。

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