表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
2/313

2.初めては兎ですか

 平均時速20kmで10時間、頭の中にあるコンパスで南に一直線で約200kmは進んだけど、どこまで行っても荒地が終わらない。それこそ近年ファンタジーの代名詞、襲われてる美女を救って疑われずに領主や金持ちの信頼を得たり、頭と股が緩い女を好き勝手に出来てやる事成す事なんでもYES!のご都合主義ハーレムっぽい初期展開のフラグも無い。

 鉄の塊なんでそんなことはできないけど、10時間突っ走り続けるのも暇なんだよね。せめて話し相手くらいは欲しい。さらに1時間走り続け、死に掛けの兎っぽいモノが倒れているのを見つけた。小さな角はあるし耳も鋭いのだが、サイズ的にも間違いなく兎だ。しかし初めて見かけた動物が死に掛けとは縁起が悪い。


スキル:念動力 50SP

周囲3m以内の物を出力に合わせた重量まで自由に動かす事が出来る。


 取得するとやっと両手の感覚がある。手を動かす感覚的には説明どおり3mと言ったところだろうか。兎を車体に乗せてみると雄。異世界で初めて出会ったのが雄の兎とかなんの運命だろう。ちょっとハゲ神様を恨みたくなった。兎アレルギーで触れる事さえできなかったけど、この体になって触れるとは思いもしなかった。

 車体に乗せてあれこれみてみるが、特に傷はなさそうだ。どうしたものかと考えていると腹がなる音が響く。どうやら空腹で倒れていたようだ。しかし食べ物など持っていないし、どうしたものかと備品欄に意識を向ける。



備品:簡易携帯食料 5SP

ミリタリーな代物に見えるが、最低限の水と乾パンに似たモノが二つ。


 飢えているならこれでもいいはず。しかし犬や猫は玉葱が、猫はチョコレートも駄目だった記憶が。成分表を見ると一応玉葱類もチョコレートも入ってはいない。コップに水を入れ乾パンらしきものを袋を破って目の前に置くと、一瞬警戒したようだがガツガツと食べ始める。使い切りで補充はされないようだが、5PTで大した損失ではない。


「それで兎君、言葉はわかるかい?」


 兎はビクっと体をこわばらせた後周囲を見回している。


「君が乗っている物体が私だよ。 食べ物を分けたのも私」


 一応理解できたのか礼のつもりらしく伏せたまま両耳を車体にたらしている。警戒や敵意の意図は無いらしい。


「話は・・・できそうにないけど理解は出来ているみたい?」


 小さく頷いているため言葉は通じるようだ。それにしても兎っぽい動物に何を聞くべきか。


「カルト教団って知ってる?」


 抽象的過ぎたのか首を横に振る。 カルト教団 であることは知っているけど、その教団名もどこにあるかもハゲ神様から何も聞いていないのだからしかたない。しかし耳がふよふよと傾きなんとも可愛らしく、犬派だったが兎派に鞍替えしたくなった。


「それじゃ仲間は? 単独で居るにはここには何も無いだろう?」


 また首を横に振っているけど、今度は長く何かを振り払っているようにも見える。荒地で飢えた状態でたった一匹、聞かないほうがよさそうな事情がありそうだ。


「平原か森はどっち? そこまでは乗せていくよ。 その後人間が沢山居る場所を教えて」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ