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交換日記
波の中で揺蕩う私は
小さな城を見つけた
吸い込まれるようなゆりかごの中で
長い長い間眠っていた
鏡の前で眠る私の後ろで
波打つ海に光が注ぐ
夜の城の星明かり
朝は未だ遥か遠くに
木霊する呼び声に目を覚まして
長い長い揺らめきが途切れて
頬を伝う涙の意味は?
何気なく足が向かった先
そこに零れた一雫
波に吸い込まれて消えていった
祈りは空へ届くだろうか?
あとがき。
小学校の頃作り出す楽しみは高尚な楽しみ、みたいな意味不明な分類を先生が言っていたことを覚えている。当たり前だが楽しさを高尚低俗と言っても仕方がないようだが。
詩の中で心を揺らす時、楽しげに揺らすことができない。しんみりしない形が好きなのに。




