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なんせ生活費・養育費等を払ってくれ続けたのでお金に困らなかった。家出したとは言え、行方不明になったのでないらしい事は幼いながらも感づいていた。離婚の判をつくことをしなかった母は、だから今でも里山家の嫁だ、名目上は。幸い、祖母とは仲がいいのでイビリみたいなこともなかった。むしろ、お母さんに味方して我が子たるお父さんを情けながって暮らしてきたうちのおばあちゃんだ。
おばあちゃんのボケが相当進んだ頃から留守を狙って上がり込むことをしているようだ。お父さんがいなくなってからも鍵を変えてない。変えないで昔の鍵のままにしているのはお母さんに考えがあってのことに違いない。蒸発した人とこっそり通じ合っていて、いついつ家の中がおばあちゃん一人になるから会いにいらっしゃい、と。




