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thirty and six
十五分もすると、さしものマヨもいたたまれなくてか、覚悟を決めた。いきなり彼の首っ玉へしがみつくように挑みかかった。
100キロを超える女とは言え、向こうも柔道で鍛えたという大きなガタイ。そこはそれ男の力ではねのけられてしまった。
「なんすかあ」と、やっとこっちを向く。怒った様子はない。無表情に近い。
マヨとしても初めてのケースに面くらった。何か言って取りつくろうのだけれども、
「ヤスダ君聞いてくれる?」
と日頃の悩みを聞いてもらうていで場をしのいだ。うちのおばあちゃんの介護が大変になりつつあること、ここのところうちの兄貴と口を利いていないこと、自分には友達といえる友達がいないこと、楽園でヤマちゃんママちゃんと呼ばれるのが心外なこと、など。
そうして、たいして成果のないまま再び池袋北口の街角に姿をあらわした。以来、怖気づいてヤスダ君とは手をつなぐ行為さえ試せないでいる。純然たるプラトニック交際を誇る二人なのだ。




