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愛だけが  作者: 島の住人
36/72

thirty and six



十五分もすると、さしものマヨもいたたまれなくてか、覚悟を決めた。いきなり彼の首っ玉へしがみつくように挑みかかった。



100キロを超える女とは言え、向こうも柔道で鍛えたという大きなガタイ。そこはそれ男の力ではねのけられてしまった。



「なんすかあ」と、やっとこっちを向く。怒った様子はない。無表情に近い。



マヨとしても初めてのケースに面くらった。何か言って取りつくろうのだけれども、



「ヤスダ君聞いてくれる?」



と日頃の悩みを聞いてもらうていで場をしのいだ。うちのおばあちゃんの介護が大変になりつつあること、ここのところうちの兄貴と口を利いていないこと、自分には友達といえる友達がいないこと、楽園でヤマちゃんママちゃんと呼ばれるのが心外なこと、など。



そうして、たいして成果のないまま再び池袋北口の街角に姿をあらわした。以来、怖気づいてヤスダ君とは手をつなぐ行為さえ試せないでいる。純然たるプラトニック交際を誇る二人なのだ。



挿絵(By みてみん)




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