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twenty and six
そこへいきなり彼の鼻が来たのだから、凍りついたマヨの心の内に、諸氏も共感を覚えないではいなかっただろう。
言われなくたって、洗濯機にかけもしないままジャンパーを渡す自分であるものか。二度三度と念を押されたのには、まったく、がっかりしてしまった。ケアの甲斐がなかった証拠だ。
さして面識があるわけでもないのに、ああクンクン嗅いで、彼は何と思ったろうか。人に失礼を与えぬばかりの汗の香を、今ごろ家に帰りながら笑っていはしまいか。
それとも ......... こう考えるのは心配し過ぎか。日頃の消臭努力が功を奏していないなどあるだろうか。洗濯を求めたのに他意があったのではなく、ケチャップのついたジャンパーを返却してくれるなよ、と単純にそういう意味だった可能性がないだろうか。(後日お茶デート中、会話の文脈によって、正にそういう意味だったと知ったときは、それこそ安堵の胸をなでおろしたマヨだった。)




