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愛だけが  作者: 島の住人
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挿絵(By みてみん)




今日は来ないのかな。



ここに座って、二時間がたとうとしている。



満開となったソメイヨシノの大木は小雨に降られて、時おり、冷たい風に乗った花びらが運ばれてくる。



ガラス囲いの待合室には入らずに、プラスチック製の腰かけの上。ソメイヨシノが匂うホームのはし。無数と開いて水滴を溜めつつある花の群れへ、マヨは目をやった .........



サトヤマ ママヨ。



少し難しく書けば、



里山 眞萬世。



みんなは、



マヨ、とか、



マヨちゃん、と。



本当は、自分でも「真代」ぐらいが良かった。「眞萬世」とは、お父さんがつけた。



何を思って、そんなゴッツい名前をくれたのか。ききたくても、ききようがない。



生まれてすぐに、名付け親のお父さんは蒸発した。たぶん、女の人と。



おばあちゃんが事件を思い出しているときは、決まって情けない顔になっている。




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