表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非幸福者同盟  作者: 相羽裕司
第一話「思いがけない助力」
8/277

8/影二つ

 体育館横の更衣室やバスケットボードがある敷地を抜け、体育館の入口を無視して、そのまま裏地に向かう。


 角を曲がった所で、いつもは誰もいない花壇の前に、一人の女子生徒がいることに気がついた。残念だ。先客がいたか。


 女子生徒は、彼女の身長と同じくらいに伸びているひまわりを眺めていた。この学校で指定されている夏の制服。紺のスカートに、半袖のワイシャツを身に着け、胸元には紅いリボンを付けている。髪型は左右でリボンでまとめた黒髪を、自然に流している。俗に言うツインテールだ。ジョーは、あ、と思った。


 女子生徒の方もジョーに気づいて振り向き、数瞬目が合う。大きな瞳と、柔らかそうな薄いピンクの唇。


 ジョーはうつむいて、所在無く、手にしていたパンのビニールの包みを指で弾いた。


 少しの沈黙の後、ジョーは振り返り、その場を後にしようとする。


「待ちなさいよ」


 後ろからかけられた声は、気丈で凛としている感じ。そして、やはり聞き覚えがあった。


「宮澤ジョー君、だよね。クォーターの?」


 改めて振り返り、じっと彼女の全体像を見る。昼食時である。お弁当の包みと水筒を手にしていた。


「そっちも覚えていたみたいだな」


 元気のよい太陽に照らされて、影が二つ伸びていた。


 何年ぶりだろうか、名前を呼んでみる。


「空瀬アスミ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ