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非幸福者同盟  作者: 相羽裕司
第二話「ジョーとアスミと志麻」
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45/同盟

「どうして、泣いているんだ」


 ジョーはとまどった。控えめに言って歓迎されていないことは分かっていた。しかし、泣かせてしまうほどのことを、自分はしたのだろうか。


「何でも、ないわ」


 そう言って頬の涙を自分の指でぬぐうと、志麻はポケットからスマートフォンを取り出した。


「認めたわけでは、ないのよ」


 ジョーもスマートフォンを出せというので、言われた通りにズボンのポケットから取り出す。続いてリンクドゥをやってるならIDを教えろと言うので、素直に教えた。


「でも、守人の活動にあたって情報交換は必要だから。まぜてあげるわ」


 志麻はアスミの方を向き直り、確認する。アスミも首肯し、同意を示す。


 リンクドゥに招待表示が出たので、承認のマークをタップすると、画面には登録した者同士のみが外部非公開で内輪で会話することができる、「グループ」が表示されていた。


 グループ内の人数を示す数字が、「2」から「3」に増える。


 アスミと志麻と、ジョーの三人である。


 半分壊れた街に寄り添う、大天寺山に降る星の明り。ある夏の物語の始まり。


 スマートフォンの画面に表示された、その秘匿「グループ」の名称を目にしたジョーは、胸の奥に静かな痛みが染み入ってくるのを感じていた。


 彼女ら二人が、自分たちのことをそう思ってこれまで生きてきたのだとしたら、それはやっぱり悲しいことだから。


 人工光を発するスマートフォンの画面には、こう表示されていた。



 グループ名:『非幸福者(ひこうふくしゃ)同盟(どうめい)(3)』



  /第二話「ジョーとアスミと志麻」・了

 第三話へ続く

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