36/石段
大天寺山の入口の門を前に、続いて行く階段を見上げる。
「この門も少し『機構的な』ほどこしがしてあってね。志麻の能力なんだけど、結界みたいなものも兼ねてるのよ。存在変動者が紛れ込んだら分かるの」
「俺、柔道やってた頃トレーニングにこの石段登ったりしてたことあったんだけど、そんなファンタジーな場所だとは思わなかったな」
「本当? 私も志麻の家にはしょっちゅう来てたから、中学時代も私達ってニアミスしてたのかもね」
大天寺山の石段を登るには気概が必要なので、準備運動代わりに少し身体をひねったりする。
やがてアスミが石段を登りはじめたので、ジョーも付いて行く。スポーツをやる人間がトレーニングに使うような石段なので体力がいるのだが、アスミは慣れた様子で。牛人との戦いで見せた身体能力もそうだが、アスミも通常の同年代の女子よりはそうとう鍛えていそうである。「山」というくらいなので石段の両脇は森林が生い茂っており、確かに、特にこの時間帯は何か異界の雰囲気がある場所だ。
さて、山川志麻というのはどんな子なのだろう。ジョーは幾ばくかの興味を胸に石段を登り続けた。




