表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非幸福者同盟  作者: 相羽裕司
第五話「彼の地よりきたる」
112/277

112/デルタ

 一方、陸奥の前にも異変は訪れていた。水上に待ち構えていたのは七メートル級怪人であった。アスミが警戒していた巨大な三体のうち、大怪人テンマを除く最後の一体。おそらくは、この街で二位か三位の男が元となっている怪人である。


 先手必勝とばかりに陸奥は菊一文字の尖端から三つの副砲を生成すると、怪人の両肩と腹部にめがけてデルタ型になるように発射する。


 副砲は怪人に着弾するものの、そこはこれまでの三、四メートル級とは違う七メートル級の怪人か。数歩後退しながらも、怪人は耐えて見せる。


(アスミさんと志麻さんが心配ですっ)


 ここはリサイクル作戦よりも、スピードを重視する局面かと陸奥が判断し、追加の副砲三連弾をお見舞いしようと菊一文字を構え直した時である。陸奥も異変に気づく。


 水上を駆ける足を止め、しばし流れる水の上に制止する形になる。


 デルタ型に撃ち込まれた副砲に抵抗していた七メートル級怪人だったが、陸奥が様子を伺っていると急に怪人から重さが消え、そのままゆっくりと水面に向かって倒れはじめた。


 そこでジョーと同じく、陸奥も怪人の胸から光の糸が吸い出されているのが目にとまる。やはり、光の糸が向かう先は大怪人テンマである。


 ジョーよりは、自分自身がオントロジカにまつわる特殊な存在ゆえに理解する。光の糸の正体は、蝶女王が指摘する所の、人間一人一人が持っているオントロジカであった。そのオントロジカの光の筋が十一本、大怪人テンマの背中に向かって集まっていた。


 今や水面に死体のように浮かぶ七メートル級怪人は、次第にその大きさを縮小させ、元の人間の大きさに戻っていく。しかし光の糸は、それだけでは許さないというような得体の知れない不気味さを醸し出している。元の人間になっても、血の一滴、皮一枚、骨一本まで吸い出してやる、とでもいうような。


 陸奥は苦々しくつぶやいた。


「まだ収奪する、ということですか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ