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1-2 人類の現実逃避と、ある二人のこと。

_全世界二次元化計画_



一部はそんな風に言い表す、最近の出来事だ。世の中のデジタル化は目まぐるしい。


時は二〇二〇年、世界は完全なるデジタル化社会。


ショッピング、トーク、ゲームなどの娯楽全般は勿論、学校や仕事までもが情報通信技術を駆使して完全デジタル化され、ものの見事に外出する必要が無くなった。

つまりはインターネット無くしては生活不可能までになり、それはごく自然に日常へと溶け込み始める。

自宅警備員という皮肉交じりの職業も、本当に自宅中にカメラ回線を張りめぐらせて警備するそんな仕事も現実に現れたのだから失笑モノだ。

娯楽、職、教育と揃いも揃い、そして驚くべき……そして全ての元凶である技術が完成した。


その名も「セカンドデイズシステム」だ。


その技術とは人の意識記憶をデータに変換し、いずれかの情報端末に送り込むという画期的なものだった。

システム完成によって、それを交流の場としたり、ある者には働き場所、一部の現実で充実した生活を送れていない者は心の拠り所に。

あまりにもよく出来たシステムで、次第に人々へ浸透していく――



「よ」

「よぉっ! ショウヤ!」


 藍空高等学校。なんの変哲もない田舎町に存在する高校だ。特に観光地もなく秀でたことも劣るところもない至って平凡な町の学校へと、俺はちまちま足を通わせている。


「……相田、来ねぇな」

「そうだなー……あいつも遂に、か?」


 何の話をしているかというと、だ。


『よー! 翔也、岬』


 教室に響く声。


「ああ……相田、遂にお前もか」

『いやいや、お前らが遅れてるだけだろー? 今時律儀に登校するなんてお前らぐらいだぜ?』


 ちなみに相田は不登校な訳ではない……一応弁解はしておくとしよう。つまりはなんだ……そうだな、言うならば。 

 学校に自分の足で登校していないだけだ。


『おっはー、岬! おお、相田クンもデータ通学ですな?』


 今度は綾崎だ。クラスメイトの綾崎の声が近くから、ふいに聞こえてくる。


『おうよ! やっと環境が整ってな! いや徹夜しちまったよー』


 そう、なんとも嬉しそうに答える相田。


「……どうも、俺には好きになれんな」

『んだよ翔也、連れないなー』

「なんというかな……」


「電子パネルと会話するのは違和感しか感じねぇよ」


 電子パネルだ。

 ノートぐらいの薄さに大きさ、面積めいっぱいに展開される画面のことだ……そろそろ話が見えないだろうからここでネタバラシを。

 

 俺と友人の岬以外は電子パネルを介して学校に通学している。


 自宅から学校の教室へのインターネット回線を介して自分のパソコンから学校の電子パネルに通信接続して彼らは通学している。

 二〇〇〇年代初頭ならテレビ電話を連想して頂ければいい、そのテレビ電話を常時接続した状態がこの画面と考えれば良いと思う。

 

 画面には見慣れた友人の顔が表示されていて、そして音声出力をして俺達と会話している。

 傍目には俺が一人画面に話かけている光景なのだが、今の時代では基本当たり前で特に気にする必要はない。


 人そのものが学校に来ずに自宅からインターネット回線を接続するだけで授業を受けることが出来るということだ。

 正直俺は……気に食わないというか、あまりにも機械的で気に入らない。


『そうかー? 俺は家から出なくて済むからいいけど』


 メリットはそんなところがある。通学時間の短縮だ。かつて存在した通信学習のリアルタイム版に見えなくない。

 その他にも多々あるが、俺は推進派どころか反対派でさえあるのでこれ以上は言及しない。


 ちなみに自宅だからといってもダラダラ授業は受けられないように、授業時間中は学校側からの監視が働いている。

 油断しているといつの間にか単位を落としていたりするらしい。

 俺はというとそういう自分の戒めとかの理由ではなく、学校に足を運ばないという事がとにかく気に入らないのだ。

 なんでもかんでもデジタル化しているこの現状が気持ち悪い、吐き気がする。


 少し想いを巡らせている内に、机上に置かれた電子パネルにクラスメイトらが自宅から接続し一応「登校」し終えていた。


 キーンコーンカーンコーン……学校の始まりのチャイムが鳴り、教室の戸を開いて担任がホームルームに現れる。

 ちなみに校舎はガタが来始めているが、なんとか手動の戸が健在だ。


「出席を取る――ああ、相田もネット通学か。これでお前らだけか、井口に椿原」

「はい」

「はい!」

『今日からネット通学でーす』

「初めてのネット通学でウキウキしているのは分かるが、調子に乗るなよ」

『うーっす』

「にしてもその薄っぺらいモニタを通してデータ通学してるんだよな……どうにもアナログ人間な俺には解せないな」

「全面的に同意しておきます」と俺は全力で同意した。やはり教師世代には未だに抵抗があるらしい、教師で言えばモニターが机の上に直立した人気のない教室で淡々と授業を進めるのだから違和感どころじゃないのかもしれない。


『ノリ悪いぞ、翔也ぁ!』

『いいじゃない! 授業は受けてるんだし!』

『……非効率だと思いますよ?』

「うっせーな」

「おいおい、お前ら静かに、ってことで出席を取るぞ」


 出席はモニター側では顔認識と指紋認証で生徒であることを確認して、自宅からの通学でも「出席」とみなすシステムらしい。

 今では三十人ほどいたクラスで俺と彼女の二人のみとなってしまった……裏切り者め。

 まぁ、まだ話をしきれていないが、一つ言わして貰うと……この、今の時代の流れは個人的に大嫌いだね。

 


 ちなみに、こう語り続けている俺は「井口 翔也」そして俺ともう一人の登校者は「椿原 岬」

 彼女との関係はと言えば、幼馴染なのだが――今はどうでもいい事だ。

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