そうめん
梅雨があけて、7月に入った。
「暑いね。お昼ご飯どうするの?」
僕は母親に話かけられた。
「どうしようかな〜??そうめんは??」
「いいけど」
母親は頷いた。
僕は少し嫌々、鍋に水を入れ、コンロの火を付けた。
僕は冷蔵庫の中の薬味を探した。
白胡麻はあるが、ネギがなかった。
僕は、下の冷蔵庫のたなを開けて、にんじんを取り出した。
そうだ、にんじんをすり下ろして入れようと手に取った。
にんじんの両端を切り落として、皮を剥いた。
そのにんじんをすり鉢ですり下ろした。
そうこうしてる内に、鍋の水が沸騰してきた。
僕は、そうめんの袋を探した。
電子レンジの上の段ボールの中に入っていた。
袋を取り出して、袋を開けようとした。
袋は硬くて中々開かない。
僕は力を目一杯入れて袋を開けた。
母親分のそうめんをお湯に入れた。
タイマーを2分にセットしてお湯の中のそうめんをかき混ぜた。
そうめんを入れたお湯は一度吹きこぼれそうになったが、火を緩めて収まった。
僕はそうめんが茹で上がるまで、にんじんをすり下ろした。
ピー、ピー、ピー。
そうめんが茹で上がった。
そうめんを湯切りに入れて、水で冷やした。
そうめんをガラスのお皿に盛った。
僕はそうめんのつゆを器に入れ、白胡麻とにんじんのすり下ろしの薬味を入れた。
母親を呼んだ。
「かーさん、お昼ご飯できたよ」
母親が台所へ入ってきた。
母親が、
「ありがとう」と言いながら、箸を取りそうめんをつゆにつけて食べ始めた。
「味はどう??」
僕は母親に尋ねた。
「夏には、丁度いいわ」
返事が返ってきた。
僕は少し安心した。
僕は今度は父親用のそうめんを湯がき始めた。
僕はあることに気がついた。
そうめんのつゆの残りが少なかった。
どうしよう、父親の分を使ってしまうと自分のつゆがなくなってしまう。
そうだ、父親の分はざるそばのつゆがある事に気がついた。
僕は父親の分のつゆはざるそばのつゆにすることに決めた。
そうめんを湯がき、お湯を切り、水で冷やした。
そうめんをガラスの器に盛った。
そして父親用のつゆはざるそば用のつゆと薬味を入れて、そうめんとつゆをテーブルに置き、2階にいる父親を電話の受話器で呼んだ。
父親が階段から降りてきて、テーブルに座った。
父親は箸を取り、そうめんをつゆにつけてすすった。
少し不思議な顔をしたが、またそうめんを食べ続けている。
僕は流石にバレないと思っていたが、父親の一口目の不思議そうな顔に少し驚いた。
父親が口を開いた。
「そうめんのつゆてどれぐらいあるの?」
僕は、
「あと少し」
と答えた。
父親は黙々とそうめんを食べている。
僕は自分用のそうめんを茹で始めた。
少し吹きこぼれそうになったが、火を緩めた。
ピー、ピー、ピー。
2分にセットしたタイマーが鳴った。
僕は、コンロの火を止めた。
そうめんを湯切りに入れて、水で冷やした。
そうめんをガラスの器に盛った。
「いただきます」
僕は薬味の入ったつゆにそうめんをつけてすすった。
そうめんとつゆと白胡麻とにんじんの味が口の中で広がった。
僕は心の中で思った。
「今日は、7月1日か」と。




