第5話 地球人ですが、何か?①
ETGの街は――眩しい。
地球とは違う色のネオンが光り、
聞いたことのない言語が飛び交い、
見たことのない生物が普通に歩いている。
優太は息を呑む。
(すげぇ……!
ここ、本当に地球なのか……!?)
「ビビってんのか?」
隣で塚原が気楽に笑う。
「……ビビってるけど、それ以上に、心臓が勝手に前に進む感じです」
「それでいい。初見で泣く奴の方が多いんだぜ?」
通りすがりの光景が、常識を壊していく。
エラがついた人間が、濡れた髪を絞りながら歩いている。
羽根の生えた店員が、空中でトレイを器用に運ぶ。
触手を収納しながらスマホをいじる青年。
「見て見て!兄さん初めてでしょ?これ!」
目の前にプニッとした透明な球体が差し出される。
中心には星屑のような光が瞬いている。
「触ってみる?」
「えっ、いいんですか?」
「だーめ」
塚原が即座に手首を押さえる。
「それは ミニビッグバンゼリー。
下手に刺激すると小規模爆発する」
「……売っちゃダメだろそれ!!」
「宇宙じゃ日用品」
(意味が分からない……!)
しかし驚きよりも、
(もっと見たい…!知りたい…!)
という想いが勝ってしまっていた。
「ほら、こっちだ。
迷ったら死ぬぞ」
塚原は軽く手招きしながら歩く。
「着いたぞ」
視線の先に、赤い提灯が揺れていた。
中華風の建物が、異世界にぽつりと佇んでいる。
「ここは──?」
「飯がうまい店だ。
一回食えば分かる」
知らない場所。
でも、なぜか暖かい光。
「腹、減ってるよな?」
「いや、さっきハンバーガー食わせたのそっちですよね!?」
不安も恐怖もあるけれど、
それ以上に胸が高鳴っていた。
息を吸って──
優太は扉に手をかけた。
そして、彼の世界は完全に裏返った。




