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換金

 「お待たせしました」


 暫く待っているとさっきの女性が戻ってきた。その後ろに一人の初老の男性を連れている。二人は私たちの正面の椅子に掛けた。


 「これか」


 初老の男性はまず真っ先に机の上に置いていた金のインゴットに目を向ける。暫く見つめた後でこちらに視線を向けてきた。


 「私はこのギルドで鑑定士をしているクルだ」


 ぴしっと制服っぽい服を着た初老の男性は少し微笑み院ながら挨拶をしてくる。


 「私はまきな。こっちがメギドでこっちがリルよ」


 私が代表して挨拶を返す。リルはさっき任せると言っていたし、メギドも普段から一歩引いた位置に居るので私が話すことになっている。


 「それであなたがそれを本物か鑑定してくれるのよね」

 「はい。さっそく鑑定に移ってよろしいでしょうか」

 「ええ」


 再びインゴットに視線を向けるクル。だけど向けるだけで手に取ったりすることはない。

 一体何をしているのかしら。この時代の技術力じゃ、触れずに人の目で見ただけで本物の金かどうかを判別するのは難しいと思うんだけど。


 「鑑定魔法だな」 

 「鑑定魔法?そんな魔法もあるのね」


 クルの行動を疑問に思っているとリルが魔法だと教えてくれた。

 鑑定魔王って、本当に魔法って何でもありね。言葉からして鑑定が出来る魔法だと思うけど、それを使えば本物の金かどうか分かるのかしら。


 「間違いなく純金です。張りぼてでもなく中身も金なのを確認しました」

 

 見ているだけに見えたけど、どうやら鑑定は終わったみたい。

 

 「それじゃあ、換金してくれるのよね」

 「はい。レートの方ですが」

 「手数料とかも取ってくれていいわよ。それで安くなるようならまだ他にもあるし」

 「…いえ、この大きさの金ならかなりの値段になると思いますが、他にも換金できるものがあるのですか?」

 「ええ、これと同じものがいくつかあるわよ」


 話に女性の方の職員が入ってきて質問してきたので答える。

 いくつあるかまでは覚えていないけど、手持ちにはああと数個ある。研究所ならもっとたくさんあったはずだし、たりなければいくらでも作れる。


 「同じものがいくつも?これとですか」


 二人tも驚いたような顔をする。

 持っていることを示すために後いくつかインゴットを取り出して見せる。


 「とりあえず、はい。後いくつかあるわよ」

 「あはは、そ、そうですか」

 「…」


 女性職員は乾いた笑みを浮かべている。クルはさっきと同じようにインゴットをじっと見ている。

 多分鑑定魔法とやらを 使っているんだと思う。


 「これも全て純金ですね」


 鑑定し終えたらしいクルが溜息交じりにそう呟いた。何故かは知らないけど呆れているらしい。


 「これごどの頻度の者を大量に持っているとは、貴女は何者ですか?」


 クルが疑うように目を細めて訪ねてくる。

 う~ん、何者と言われても困るわね。田舎から出てきたという設定だけど、それでいけるかしら。


 「田舎から出てきたばかりの旅人だけど」

 「それで、このようなものをどこで?」

 「信用問題にかかわるので答えられないわ」


 言えないことは言えないと素直に言う。信用問題と言っておけば大体これ以上は深くは聞かれないでしょう。

 どこで手に入れたと言われても、これらは錬金術で作り出したものなので出どころは言えない。

 この時代に錬金術があるのかは分からないけど、こんなに金が基調に扱われているということは一般的な技術ではないか、そうだとしても腰とがかかりすぎるかのどちらかだと思う。

 だから錬金術で作り出したとは言えない。言うと話が面倒な方向へ行くのは分かりきっている。


 「そうか。納得は出来ないがそういうことにしておこう。それでそこにあるのを全て換金するのでいいんですね」

 「ええ、お願いするわ」


 どうやら換金は無事にしてくれるみたいだ。これでまとまったお金が手に入る。


 「あと、身分証とかもほしいんだけど、出来るかしら」


 門番の人に身分証もここで作れると聞いたので尋ねる。


 「はい、ギルドに登録していただければ、その証明賞が身分証にもなりますよ」


 女性職員が答えてくれた。これで身分証もゲットだ。

 どういう時に必要になるかは分からないけど、もっていて不都合はないはず。街に入る時も必要だったからね。


 「それでは換金してまいりますので、少しお待ちください」


 そう言って二人が部屋から出て行った。

 

 「リル、今のうちに訊いておきたいのだけど」

 「何だ?」

 

 リルが知ってるかどうかは分からないけど訊くだけ訊いてみる。


 「リルは錬金術って知ってる?」

 「ある物質を全く違う物質に変えるというあれか?」

 「だいたいそうだけど、それって一般的に知られているのかしら」


 今の時代には魔法がある。なら私たちが使っていたものとは違う方法で転勤術が再現されていてもおかしくない。


 「そんなものはお伽噺にしか出てこないはずだが、まさかお前は使えるのか」

 「使えるっていえば使えるわよ。色々と準備なんかは必要だけど」


 やっぱりさっきは錬金術のことは言わなくてよかった。お伽噺にしか出てこないことが出来るというのは、変に思われる。信じてはもらえないだろうけど、今まで以上に不審に思われるかもしれない。


 「錬金術が使えるなら金も作り放題だな」

 「そうね。これからお金に困ることはないわね」


 勿論、金を大量に作ってそればかりを換金していたら値崩れするので他にも何か貴金属類なんかをつくっていけばいい。そうすれば大金を簡単に手に入ることが出来る。


 これで街で暮らしていく、稼働川分からないけど、色々なことに使えるお金は確保できたわね。

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