商業ギルド
街には入れたけど明日にはまたここまで戻ってこなくてはいけない。その時はちゃんとお金を用意しておかないといけないので今日中にそれを終わらあせたい。
「確か商業ギルドに行けと言っていたな」
「そうね。リルはその商業ギルドっていうのを知っているのかしら」
「詳しくは知らないが大まかなことなら知っているぞ」
門番に金を監禁してもらえる場所を教えてもらった。それが商業ギルドとかいうところで、リルによると商売に関わる大体のことを取り仕切る組織らしい。
場所は大体この街の中心近くにあるらしく、大きく看板も出ているとのことだったので歩いて向かう。
「それにしても、リルみたいに耳とか尻尾とかある人もちらほらと居るわね」
「獣人だな。それほど珍しい種族でもないし、我もまぎれられてちょうどいいな」
商業ギルドに向かいながら街の様子を確認する。街を歩く人たちは普通の人間が一番多いけど、獣人という動物的な特徴を身体にもつ人たちも多く見かける。そのおかげで私たちも目立つことなく街に溶け込むことが出来ていると思う。
「あ、あそこじゃないかしら」
暫く歩いて行くと商業ギルドと書かれた木製の看板が見えてくる。その建物を見ると他よりも一回りも二回りも大きな建物だった。
「なんか他よりもかなり大きいわね」
どこの建物も大体一階建て、大きくても二階建てだというのに、この商業ギルドは三階建てになっている。
『商業を取り仕切っているそうですし、必然的に重要になるのは当然かと』
メギドの言う通り、特にこの時代において商業のかなめとなる存在は重要だ思う。かがっく技術のあまり進展していない状態で物資を運ぶというのはかなりの大ごとだ。それを取り仕切っているんだから商業ギルドが大きな建物で権威をアピールしているのにも納得できる。
「まぁ、そこはどうでもいいし、中に入りましょう」
私たちにとってはあまり関係のないことだ。商業ギルドがどれだけの力を持っているかは知らないけど、私たちは換金さえしてくれればいいので問題ない。
「我は人間のしがらみなどは知らないから任せるぞ」
「ええ」
リルに任され建物の中に三人で入っていった。
中に入ると大きな部屋が広がっており、部屋の奥に大きなカウンターがある。そこに複数人の女性が待機していて、今もそのうちの数人がカウンター越しに何かを話し合っているようだった。
「受付みたいだし、あそこの人に話しかけましょう」
空いていた女性の方に行く。
「ようこそ。本日はどのような御用でしょうか」
私たちに気付いた女性が柔らかな営業スマイルで話しかけてくる。
「これを換金してほしいんだけど」
カウンターの上に金のインゴットを置く。それを見た瞬間女性は目を見開いた。
「こ、これは…こんなもの不用意に出さないでください」
言って直ぐに戻すように促される。
何かしら。何か非常識なものを出してみたいな反応をされたんだけど。
「そんな大きなインゴット、ここで不要有為に出さないでください。別室を用意しますので」
もしかしたら、思っていた以上に金の勝ちが高いのかもしれないわね。わざわざ別室を用意するなんて、私にはそこまでのものだとは思えないのだけど。
小さな声で言う女性に他人事のように思いながらインゴットをいったんしまった。
「こちらに来てください」
当然ついていくしかないので付いて行く。その光景に視線がいくつか集まっていた。
いいのかしら。明らかに私たちが普通じゃないことが気付かれてると思うんだけど、それじゃあ別室に行っても重要な取引か何かがあるのが丸わかりね。
「どうぞ、椅子に掛けてください」
扉を開けて入るように宇なあされたので案内された部屋に入る。中には誰もいないので適当に空いていた椅子にそれぞれ座った。
「それでは改めて先程のものを見せていただけますか」
女性も居ずに座ったところで、そう切り出してきたので指示に従って金のインゴットを机に置く。それをじっと数秒見た後でこちらに視線を向けてくる。
「これは本物ですか?」
「そうよ」
「触っても?」
「ええ」
確認を取った後でインゴットを手に取っていろんな方向から見る女性。
そんなので本物かどうか分かるのかしら。
「私には本物かどうか分かりませんが、本物ならかなりの額になると思います」
「そもそも金ってそんなに高価なの?」
「当然です」
どうやらこの時代で金は高く売れるみたいだ。
そうえば地表近くにある金も大体掘りつくしているし、そう考えるとかなり貴重な金属になるのかもしれないわね。それでも装飾くらいしか使い道はにいのだけど。
「少しお待ちください。鑑定できるものを呼んできます」
そういって女性は下野を出て行った。
正直なところ高くても低くてもどちらでもいい。いくらでもあるんだしね。