入街
メギドは嘘がうまい。
人間は嘘をつくとき必ず何かしらのサインが出る。それえは目に見えるものだけではない。脳波だったりホルモンだったり嘘をつけば、それ相応の反応がある。
でもメギドは機械だ。だからそういうものを簡単に偽ることが出来る。だから絶対にばれない嘘というものがつくことが出来る。
交渉も同じで相手を解析することによって求めるもの、欲しい言葉が簡単に分かる。それにあわせて本当でも嘘でも会話を進めることが出来る。
「田舎って嬢ちゃんたち女三人で来たのか?」
『はい。先程も見せましたが彼女は収納魔法が使えます。食料及び武器やその他必要物資なども簡単に持ち運べます。それとこちらの獣人の彼女も魔法を使えます。それも強力な攻撃系の者を。そして私は索敵が得意です。なのでこの三人でも問題なく旅をすることが出来ると思い田舎から出てきました」
今までリルと話して得た情報を交えながら説明するメギド。それを聞いた男の人達はまだ疑う目をしながらも警戒の色は薄れる。
「そういわれるとおかしいところはないな。分かった、入ってもいいぞ」
どうやら無事に街にはいれるみたい。この程度で入れるなんて警備がざるすぎないかしら。こっちとしてはありがたいけど。
「そこで所りゅいは書いてもらうぞ」
『はい』
一人に連れられて門の内側のすぐ近くにある建物に入った。
「こいつら田舎から出てきたばかりの者らしい。後は頼む」
「おう」
建物の中は六畳くらいの大きさでいくつかの机と椅子が置いてあった。そのうちの一つの椅子にもう一人男が座っていた。
私たちを連れてきた男がその男に私たちを任せると戻っていった。
「それじゃあこれを書いてくれ。あ、文字は書けるか」
机に三枚の紙を置く男。見ると私の知っているものとは少し違っていたけど、日本語だった。文字の方もメギドが解析済みなので当然問題なう書ける。
「リルは文字を掛けるかしら?」
元は狼のリルに文字が書けるか分からなかったので訊いてみる。訊かれたリルは心外そうな顔をして答えた。
「文字程度書ける」
だ、そうです。それは悪かったわね。私のんかであなたをどの程度に位置付けていいかまだ迷っているのよ。何が出来て何が出来ないかが赤らない。それとも魔法を使えば何でもできるのかしら。
「全員書けるならさっさと書いてくれ。それを書いたら色々と説明する」
促されたので椅子に座りさらさらと書いていく。メギドは実体がないのでメギドの分も私が書いていく。
「名前と、出身は『東京村』と」
出身地をかく欄があったので適当に東京村としておく。それをリルにも伝えるためにわざと声に出して少し強調して言った。
一緒に元凶の村から出てきたという設定にしているのでそのあたりは合わせておかないとおかしい。
「『東京村』だな」
私が書いているのを見たリルが同じように書く。ぶじに意図が伝わったみたいね。
そのほかに年齢や性別なんかを書いていって全部の項目を埋める。
「書けたわよ」
「あぁ、それじゃあ説明するぞ」
私たちが書いた紙に目を通した男はそう切り出す。
書いている内容に問題はなかったようね。
「東京村なんて聞いたこともないがよっぽどの辺境から来たんだな」
と、この程度で済んでしまった。本当に警備大丈夫かしらこの街。
「あと身分証がないなら通常より入市税は多くかかるが大丈夫か?」
お金か。当然こぞ時代のお金なんて持っていない。
(そもそもここの通貨って円じゃないわよね)
(はい。銅貨や銀貨といった硬貨を使っているようです)
脳内でメギドに訊いてみるとそう返ってきた。
持っていないからさっきの金のインゴットでいけるかしら。
「お金はないけど、これでどうかしら」
先程と同じように『宝物庫』から金のインゴットを取り出して机に置く。
「な、こんなもん受け取れるか」
と大声で言われてしまった。
困ったわね。なら払えるものがないわよ。
「でも私たちお金はないのよ。これでなんとかならないかしら」
「なんで金はないのに金はあるんだよ。まぁいい。なら街で換金して明日またもってこい。今日はもう遅いしそれでいい」
不思議そうにしながらも、そう提案してくれた。ありがたいことだったので頷いて金のインゴットをしまった。
「もし明日持ってこなかったら重罪委になるからな。金が用意できなくてもとりあえず来い」
そういうことで無事に街の中に入ることが出来た。