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橘平、父を部屋に連れてくる

「あ、そうだ!最近父さん、アクセサリー作りにはまってるんすよ」


「パパがアクセサリー??」


「意外っすよね。もともと、母さんにプレゼントするために作り始めたんです。細かい作業好きだからか、そこからはまっちゃって」


「へーへー、どんなの作ってんの?」


 向日葵はベッドから降り、丸テーブルに腕を付いて目の前に座る橘平にずいと近づく。


「主に女性もののネックレスとかイヤリングとかいろいろ。作り過ぎちゃってたまってるんです。向日葵さんと桜さん、良ければどうです?結構キレイっすよ」


 女性陣の目がキラキラし始めた。二人とも「見たい!!」と同時に発した。


「じゃ、持ってくるんで待っててください」


 橘平は立ち上がり、父のいる部屋へと向かった。


「あの素晴らしい折り紙作品をお作りになるんだから、きっとアクセサリーも素敵なんじゃないかしら」


 桜は期待に胸を膨らませる。向日葵もそれは同じで、桜と腕を組んで「楽しみ~!」とワクワクしながらアクセサリーを待っていた。




◇◇◇◇◇




「父さん、ちょっといい」橘平は2階の奥にある、四畳ほどの小部屋をノックする。


 ここは父の趣味部屋だ。家を建てるときに、わざわざ設計に組み込んだほどに所望した空間。それ以外は実花の好きにしていいという条件付きだ。


 幸次が扉を開けた。「何?」


「桜さんと向日葵さん、アクセサリー見たいって」


「本当に?」幸次の瞳に星が宿る。「すぐ行く」そういってA4サイズほどの小物入れを3箱手にし、趣味部屋を出た。




◇◇◇◇◇


 


 しばらくすると、口角の緩んだ幸次が橘平とともに部屋へ入って来た。


「俺のアクセサリーに興味持ってくれたみたいで。好きなの持ってってよ」


 幸次は丸テーブルの上に箱を置いた。桜と向日葵が思い描いていた「ハンドメイドアクセサリー」とは、一線を画す作品が並んでいる。


「ええええ!?これ、全部、八神かちょーが作ったんですかあ!?」


 向日葵は驚きと興奮で声が裏返る。桜は言葉がでてこない。


「そーだよ。結構上手でしょ」


 素人とは思えない作りで「デパートに売ってるレベルじゃないですか、これ!?」向日葵はそう表現した。


 興味のない葵ですら「これはすごい…」と零す。


 既存のハンドメイドパーツを改造したり、組み合わせを工夫して作っていると幸次は話す。しかし、きらめきが本物のジュエリーのようである。加工すればいいと幸次は何でもないように言うのだが、そんな簡単な技ではないだろうと思われた。


「実際にね、某高級ブランドのデザイン丸パクリしてるんだ。いわば海賊品だよねえ。これみて」


 と、幸次はプリントアウトしたデザイン元の画像を何枚か見せる。


 見分けがつかないほど酷似していた。出品したら捕まるかもしれない。


「あの、本当にこれ、いただいてもいいのでしょうか…?」


「どうぞどうぞ。作っても母や妻以外にプレゼントする人がいなくてさ。気に入ってもらえたならいくらでも」


「ええ、じゃあ……このペンダントいいですかあ?」


 向日葵が手に取ったのは、小粒のダイヤモンド風のペンダントトップがついたデザイン。シンプルで普段使いのしやすいものだ。


「いいよ。ちょっとかして」


 幸次はペンダントにエンドパーツとして小さな丸いチャームのような物をとりつけた。


「何つけたんですか~?」


「一応、俺が作った印。ブランドロゴ」


 チャームには八神家のお守り模様が刻印されていた。


 彼も八神家の人間であったのだ。それをみた橘平は思い切って、父に聞いてみた。



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