27.王宮でパーティー6
「芽衣!しっかりして!」
控え室に連れて行ってくれた。
これが控え室なの?っていう豪華なお部屋だけど、もはやどうでもいい。
誰もいなかったからちょっと?芽衣でいさせてくださいー。
ソファーでぐったりする。
「ストライブ様の押しが凄いわねぇ。見てる方が恥ずかしいわぁ」
頬に手を添えて早苗様が感心している。
「これはもう逃げられないわよ。このまま婚約、そして結婚コースね」
里英ちゃんは恐ろしいことを言う。
「……レイ様の攻撃力が、キラキラ度が、エスコートが、色気が、笑顔が、言葉が甘いーーー」
涙目で訴える。
「レイ様?」
「名前で呼んで欲しいって」
「いつの間に付き合い始めたの?」
「付き合ってませんが…」
「今日の様子を見てると初々しい恋人同士みたいだったわよ」
里英ちゃんがまたとんでもないことを言う。
「え…」
「ストライブ様、外堀からガッチリと固めたわね」
早苗様…そうなんですか?
「これだけの人が見ているからねぇ。とにかく、あと少しだから頑張って!芽衣!」
「…はい」
元イチオシ社の女神様達からのエールをいただきました。
「ドレスのうしろも直しましたよ」
「田口さん、ありがとうございます」
ソファーでぐったりしていたから、早苗様が綺麗に整えてくれた。
「芽衣が好きな可愛らしいドレスね。よく似合っているわ」
里英ちゃんがまじまじとドレスを見ている。
「そうなの!好み過ぎて届いた時にびっくりしちゃったわ!見て!このリボンも可愛いよね!」
嬉しくてクルリと回りドレスを見てもらう。
「ストライブ様、芽衣のことをよく見ているんですね」
「フフッ。そうね」
控え室にある鏡の前で嬉しそうにしている私をふたりも微笑みながら見ていた。
* * * * *
「レ、レイ様」
「メリアーナ」
キラキラはまだ健在でした!
レイ様が差し出してくれた手にまたちょこんと自分の手を乗せる。
「本当に可愛いね」
手を優しく握ってレイ様は微笑む。
可愛いプラス色気!!
また私は真っ赤になった。
「ストライブ様、もう少し手加減してあげてくださいね」
里英ちゃん!ありがとう!
「…今はそんな余裕なんてないよ。ライバルは多いから」
レイ様の余裕?
何の?
こんなに攻撃力高いのに?
「ではあちらに行こうか、メリアーナ」
そのあとは、いろんな人に『仲が良いのね』『お似合いね』なんて言われた。
しばらくして、お父様達の所へ行き家族で王家の方々にご挨拶をした。
そのあいだお兄様は私にベッタリで、「大丈夫か?」と何度も聞かれた。
…いえ、大丈夫ではありません。
そして、またレイ様と一緒になり、美味しいお菓子を取って来てくれたり、見事なお花が咲いている庭園に連れて行ってくれた。
「可愛い薔薇…」
この国では季節を問わず綺麗に咲く薔薇もある。
オーディエンスが少ない場所だと緊張が少しとれてきた。
レイ様が上着を掛けてくれて、アーチ状の薔薇の下を潜りながら歩く。
庭園のガゼボにふたりで座った。
例によってハンカチを敷いてくれる。
しばらく庭園を眺めていたけど、言葉がなくてもこの沈黙は落ち着くわ。
今は攻撃されてないから?
「今日は本当にありがとう、メリアーナ」
「え…?」
真剣な表情にまたドキリとする。
「君と一緒に過ごせて、君を独占することができて本当に幸せだった」
「…」
「パートナーに選んでもらえて夢のようだったよ」
やっと落ち着いてきたのにドキドキが!
どうしよう!!
「これからも君を名前で呼んでいい?」
レイ様の真剣な顔を見てると胸が痛い。
「あ…」
どうしよう。
苦しくて。
「私のこともレイと、このまま」
今日何度も見たレイ様の大人びた真剣な顔。
何度も繋いだ手。
そして、今も。
レイ様の手から気持ちが伝わってくるみたい。
「……は、はい」
甘い痛みが苦しい…。
こんな気持ち、ずっと昔にも…。
涙がポロリと零れた。
遠くからダンスの音楽が聞こえてきていた。




