それはあっけない真相のようで
真相
僕は、祖母と話すために、そのラジオを持ってリビングの方に行った。
「おばあちゃん。ちょっといい?」
「どうしたの?」
祖母の口調は、とても優しかった。
「おばあちゃん。これ、何かわかる?」
そう言って、僕はラジオを祖母に見せた。
「そうかい……見つけちゃったんだね……」
祖母は、表情を少し暗くした。そして、少し考えた後、「それじゃあ、話さなくちゃね」と、話し始めた。
「おばあちゃんはね、元々東北の方の人でね。中学校の頃に引っ越してきたのよ。だからなのかねぇ、虐められてたのよ」
祖母は、すこし遠くを見つめた。
「あの頃はねぇ、方言も違くて、馴染めなくてねぇ。当時、この村の村長の子供さんだった子に結構執拗に虐められてな。だから当時は、その子に呪いをかけようとしたのよ。あなたのひいひいおじいちゃんはね、怪談話が好きで良く語ってくれたのよ。私が中学生になる前に亡くなっちゃったけどね。遺してあった本だったり、聞いた話を思い返して、どうにか呪いをかけれないか色々してね」
祖母はラジオを手にとった。
「懐かしいわねぇ。昔は、本に書いてあったのを見よう見まねで、確かこの中に髪の毛を入れて、『呪ってやる!!』なんて思ってたっけな。その後、太一さんがね、そのいじめっ子から守ってくれてね――――」
太一とは、祖父の名前である。だが、何故だろうか、祖母の話に、何処か違和感があるように感じたのだ。
その後、祖母が祖父との思い出を語っているうちに、夕方になっていた。
「それじゃぁ、おばあちゃんはお食事の支度をするからね。そういえば、今日は悠ちゃん帰ってくるって」
悠ちゃんというのは、2階に元々住んでいた従兄弟のことだ。久しぶりに遊べるかもしれない、と思うと心が高鳴った。