達磨さんが転んだ
『西夏…』と耳にした張良は、その場を丸く納めるためか、殊更に満面の笑顔を見せて、歓迎の意を示した。
(´▽`*)「滎陽にようこそ♪お待ちしておりました!ささっ…此方にどうぞ♪」
そう言って、稟笥の肩に手を置きながら、一緒に城門に架かる階段を降りて行く。
それを見ていた副官は、『(´▽`;)え?』と驚きながらも、主には何か考えがあるのだろうと、その場の臨戦態勢を直ぐ様、解除して、「解散!」と言って、騒ぎに詰め掛けて来た増援部隊に解散を命じて、通常警戒態勢に戻す。
慌てて詰め掛けて来た兵たちは、話が良く判らないので、「( ・ε・;)ちぇっ!」と各々にブツクサ言いながら、仕方無く引き揚げて行った。
稟笥は颯爽と現れたつもりが、思いの外、無視されて仕舞ったので、少々不満気な顔をしているが、郷に入れば郷に従えと、やむを得ずトボトボ着いて行く(´▽`;)…。
やがて廻廊の先にある一室に押し込められる様に、放り込まれると、張良は部屋の外に衛兵を立たせて警戒に当たらせた。
『しばらく誰も入れない様に…』
張良はそう固く命じると、自分も部屋に入り、後ろ手に扉を閉めた。
稟笥は良く判らないまま、いつの間にか、囚われ人になっているが、元々状況をそのまま飲み込む手合いの男では無い。
彼自身がずる賢く立ち回る人種なので、ここに来る間にも、頭の中は目まぐるしく回転しており、色々な状況変化に対応するべく、既に心の準備は出来ていた。
そしてその結果として、想像の翼を羽ばたかせながら、この状況を『是』と推察して、大人しく従っているのだ。
彼は自分を閉じ込めたこの優男の事を、先程からつぶさに観察しているのだが、さして慌てている風でも無く、泰然自若に構えていて、顔には微笑みさえ称えていた。
『(^^)…どうやら此方の素性を御存じのようだが、果たしてどれほどの者かな…当たりを引いて居れば良いが…』
稟笥はそう想いながら、相手の初動を待っていた。
彼にしてみれば…この目の前の男を倒す事など容易いし、脱出に掛けては『魔術師』の如き器用さを兼ね備えているので、焦る必要性は全く感じていない。
此方もゆったりのんびりと構えていた。
するとその優男は、ニコニコしながら、
「そこだと少し寒いでしょう?どうぞ此方の囲炉裏の傍においでになって下さい。のんびり暖まりながら、お話しましょう♪」
そう言って手招いている。
稟笥は「それはどうも!」と礼を述べて、怖がる素振りも見せずに、スタスタと寄って行って、囲炉裏の傍に座り込んだ。
その様子を見ていた張良はクスクスっと笑って、嬉しそうに酒を勧めた。
「お外は寒かったでしょう?よくあんな冒険染みた事を為さるのですか?とっても馴れてらっしゃるようなので、感心して観ておりました…」
そう言って、「温まりますよ♪」と酒をついでくれる。
稟笥は「此れはどうも御馳になります…」
そう言って器の酒を一息に飲み干した。
「此れは豪快な方だ…もう一杯どうぞ♪」
そう言って再び酒を器に注ぐ。
『こいつ妙に手馴れているな…まさか阿片でも仕込んで無いだろうな…まぁ毒には耐性があるから俺には効かぬがな…』
稟笥は怪しんだものの、おくびにも出さずに、礼を述べて、注いで貰った。
「時に…私が何をしに来たのか御存知ですかな?」
彼は酒をぐびぐび遣りながら、然り気無くそう口を就いた。
稟笥はなかなか話が先に進まないので少々焦れて来ており、やむを得ずこちらから話を切り出す事にした次第である。
(;^_^Aアハハハ…読者の皆様もそうお想いですよね…すみません、直ぐに進めますので(´▽`;)…
張良は(´▽`)?!然も失念していたと言った具合にキョトンとした表情を浮かべると、やおら申し訳無さそうにペコペコしながらこう答えた。
(´▽`)「いや~恐れ要ります…稟笥殿!申し遅れました…私が張良と申す者です♪貴方は私に会いに来たのでしょう!西夏…と聴いて焦りましたよ。あれはいけません!他の者には知られては為りませぬ所以、取り急ぎ隔離させて頂いた次第です!貴方は司馬信殿の手の者でしょう?皆が皆、味方では無いのですから、ゆめゆめ馬脚を露さぬ様に願います…」
張良はそう言って、稟笥の華々しい登場の仕方を嗜めた(´▽`;)…。
「此れはどうも…(^-^;」
稟笥は成る程…とようやく張良の行動に理由が在った事に気がついて、その計らいに謝意を示した。
(^^)そして『当たりだ…しかもいきなり金の玉を引き当てた♪俺様の悪運も偶然とはいえ末恐ろしい限りだな…』と自分の運の強さに却ってヒヤリとしてしまっていた。
(^.^)「で!情報とは何でしょうかな…こちらに都合の良いものだとありがたいのですが…?」
張良はそう改めて切り出すと、稟笥の言葉を待った。
(^-^…稟笥はまんまと大金星を引き当てた事に独りで酔っていたが、張良の言葉に我に返り、その大金星様に応える様に振り返ると、姿勢を正して対峙した。
そして自分の訪問の目的である情報を伝えたのである。
「明日…項羽自ら、ここに攻めて来ます。その兵力は10万、副将は周殷、そして鍾離眛、そして季布…。それだけではありません。明日の作戦は連動作戦らしいのです。つまり二方面作戦ですな…。斉国への攻略には、大将が項它、副将が龍且・周蘭、その兵力は総勢20万…季心が遊軍につき、斉国軍が田横・田広で総勢5万…いよいよ奴らは牙を剥いて来ますぞ…張良殿の事だ、既に対応は練っておられると想うが、ゆめゆめ油断召されぬ様に…話は以上です。」
稟笥はそう言うと、張良を見つめた。
張良は真剣な眼差しでそれを聞いていたが、
「そいつはたいへんだ…(´□`; 三 ;´□`)!」
と叫ぶと突然慌て始めた。
稟笥は「(゜Д゜≡゜Д゜)゛?えっ!」とこちらも驚いた表情を見せて、「まさか何も用意して無いので?」とびっくり仰天している。
(^.^;)「まさか…用意はしてますよ!ですが明日とは突然な事ですな…早速協議に入らねば為りませんから、私は此れで失礼しますよ…おっと連絡に感謝します♪」
そう言うと張良は扉を強く叩いて合図した。
衛兵がそれに応えて扉を開けると、なんと勢い余った二人の男が揉んどり打って部屋の中に雪崩れ込んで来たではないか…。
張良と稟笥は『( *゜A゜)(*゜Д゜)…何だ何だ何があった…』そう想いながら、驚いた顔をしてそれを見つめている。
倒れ込んだ二人も、部屋の中の驚きが伝染した様に、争うのを辞めて、倒れこんだまま顔を見上げた…。
それは陳平とそれを止めようとしていた張良の副官であった。
二人は小競り合いの末に馬脚を露した恥ずかしさから顔を赤らめている。
(^-^;『やれやれ…』
張良はそう想いながら、ひっくり返ってこちらを見ている陳平を眺め、大きくひとつ溜め息を尽いた。




