表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/88

勅使の到着

ー同日・韓信陣営ー


北方攻略軍司令長官の韓信は幕僚たちを召集し、斉国攻略作戦の最終確認に入っていた。


実は既に本日の朝、一度作戦本部は召集され、全幕僚の総意で準備が整い次第、順次攻略に入る事になって居た。


ところが、いざ兵に昼食を取らせる段になってから、榮陽からの使者が慌ただしく到着し、劉邦の勅書を持って来たとの報告があった。


韓信も副将格の漢嬰や周勃、軍事参謀の蒯通(かいとう)や趙攻略で配下に納めた李左車(りさしゃ)などと一緒に歓談しながら、昼食を採っている最中(さなか)であった。


漢嬰は至ってのんびりと『陛下の士気高揚の一環でしょうな…頑張りたまえ♪君たちならやれる♪とか何とか(笑)』とあくまで平静そのものだ。


かたや周勃(しゅうばつ)はと言うと、今食わねばしばらく食えん(笑)と必死に食い物を口に運んでおり、余り関心は無さそうである。後は韓信殿宜しく♪てな感じに見えた。


韓信はと言うと…、


『まさかこの後に及んでまた兵を寄越せ!じゃないだろうな??』


とやや心配している。


それと言うのも、北方攻略時に一度成らず…せっかく鍛え上げた韓信精鋭の兵を根こそぎ抜かれているからだ。


榮陽の兵が足りないから、韓信兵を廻してくれ!と半ば強引に命令してきたのであった。


『陛下の命令と有らば仕方ない…。』


韓信は泣く泣く精鋭の兵を劉邦に送った。


劉邦としては、連日…化け物・項羽相手に兵を削られ、やむ無し!という訳だ。


さらに言えば、『儂が一手に項羽を引き受けているのだから当然だろう!』と思っている。


作戦と言えば作戦なのだが、重要拠点・榮陽を死守しながら、項羽の意識を自分に向けさせて置くのは、ある意味、命賭けだ。


連日、一方的な項羽の攻勢に晒され続け、まるで生きた心地がしない。


それだけの覚悟で儂がやってるのだから、北方攻略はやって当たり前!兵くらい気前良く寄越せよ…てな具合なのだ。


韓信はそれが分かっているから、『またか?』とまずそっちに意識が行っても不思議では在るまい。


『さすがにこのタイミングは不味い…。』


今まさに兵に食わせて、さあ頑張れ!と送り出そうとしている刹那である。


『韓信ちゃん♪また兵をおくれよ♪』


陛下なら言い出しかねない(汗)


『そう書いてあったらさすがに今回は断ろう…。』


韓信は心に決めた。


さて、片やで軍事参謀の蒯通はと言えば…。


『かなり嫌なタイミングだな…。』


とあくまで現実的にこの件を捉えている。


『まさか…攻略に待ったが掛かったのでは?』


と心配していた。


『陛下なら、突然変質しても不思議は在るまい…。』


理由は解らぬが、今まさになにかが起きており、そのため、事情が変わったのかも知れぬ…。


ある意味さすがは軍事参謀である。


この場で事実を一番冷静沈着に言い当てていたのは、蒯通だけであった。


李左車(りさしゃ)はと言うと…。


『抜かれるな…。(笑)』


とやはり、韓信同様の心配をしている。


…と言うのも、陛下に韓信精鋭の兵を抜かれた際に、(あるじ)・韓信から…


『李左車ちゃんどうしよう??(ToT)…。』


と泣きつかれた事が在るからだ。


『志願兵募って鍛え直すしか無いですな…。ちょうど軍全体が疲れから士気が落ちてますから、休ませておき、その合間にチャチャっと新しい兵に訓練しましょう♪』


と教えてあげた事があったのだっだ。


さて、いよいよ韓信たちの前に勅使がやって来た。


韓信たちは膝立ちで拝手しながら、(みことのり)を受ける。


勅使は(おごそ)かな言葉で、


『陛下の勅をお伝え致します。』


と前置きした上で次のように述べた。


『現在、士人の酈食其を斉国・田広の元に和平交渉に向かわせているから、そう心得よ♪以上である。』


そう言うと、韓信に勅書を差し出した。


『お受け致します。』


と言って、韓信は勅書を受け取りながら…、


『はい??』と混乱している。


仕事の済んだ勅使はとっとと引き揚げようとしているが、韓信はそれを慌てて引き留めて確認をした。


『あのぅ…陛下は何が(おっしゃ)りたいのでしょうか?今ひとつ意味が飲み込めないのですが…。』


勅使はめんどくさいなぁ…という体で『ウオッホン』と咳払いしている。


よく見ると傅首ではないか…。


この当時、傅首は榮陽で兵站を担っており、小うるさいのが少しの時間でも居ないとせいせいすると、厄介払いも手伝って派遣されたのだ。


韓信は傅首の顔をまじまじと見つめながら、


『早く言えよ♪』


と眼をキラキラさせて待っている。


漢嬰も『どう言う事だ?停止命令か?』と息巻く。


周勃はどっちでも…てな具合で口に饅頭を放り込み、ムシャムシャ咀嚼(そしゃく)に余念がない。


蒯通はというと、李左車とぶつくさ言いながら、意見交換をしている。


傅首は再び『ウオッホン』と咳払いをすると、皆を手招きして集めて、頭を寄せ合うと、小声で呟いた。


『いいですか…私は事実を伝えたまでです。他には何も言うなと釘を刺されている。つまりはそう言う事です。解った??』


五人とも一様に『う~ん?う~ん?』と首を振っている。


傅首は『ウンガッ!!』と擬音を発すると鼻を鳴らして、めんどくさいと言った感じで付け加えた。


『つまりですなぁ…陛下は交渉が設立すれば、ラッキー。失敗しても代償は縦横家の首ひとつだからオーケー。そのために攻略は停めたくないが、万が一が在ると不味いから、明確な指示は避けて、判断は現場でしてちょ♪…てな事ですな(笑)では皆さんご機嫌よう♪』


と言って、回れ右をすると再びスタスタ歩き出す。


『ちょっと待て…』


今度は漢嬰が傅首の肩を掴むや強引に引き戻す。


傅首は『何をする!』と怒り心頭に漢嬰を睨みつけるが、漢嬰がそれ以上の激昂を顔に浮かべているのが分かると、『参った…。』と困った顔を見せた。


漢嬰は『言質(げんち)を与えぬと言う事か?』と再度確認した。


傅首は『どうもそのようですな…。』と困り気味だ。


すると、興味のかけらもなかったはずの周勃が、ポツリと呟いた。


『どうせ陳平さんの発案でしょう♪あの方ならやりかねない(^-^;…。』


漢嬰はそれを聞くと激怒して『そうなのか?』と傅首に詰めよった。


傅首は役目を押しつけられた時から、嫌な役目を押しつけられたと乗り気じゃなかった上に、めんどくさいし、こんな事に成りそうな嫌な予感がしていたから、最早、泣き面に蜂と言った具合に、苦虫を噛み潰したような顔で応えた。


『詳しくは知りませんが…崔洋がお気の毒てな顔で見送ってくれましたので、その可能性は大ですな…。』


そう言うと『後は皆さんで宜しく♪』と言って、再び回れ右をすると、スタスタ帰っていった。


最後『あークソッ!』とこれ見よがしに悔やんだ言葉が聞こえてきた。


(ToT)キャラが増えて来るとやはり言葉の化学反応が楽し過ぎますな…(笑)


さて、ますます展開が楽しみになって来ました。


引き続きお楽しみ下さい♪


byユリウス・ケイ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ