98話
畳…いや、もっと広い部屋が目の前に広がっていた。
自分が居る所は、巨大なベッドの上のようだ。
正面には、何やら大きな暖炉がある。
こんなのテレビや雑誌でしか見た事がない程だ。
遠目に見える壁は石壁、床には絨毯が敷いてあるが、何やら動物っぽい後頭部が見える…アレは熊か何か…か?いや、熊に角は生えてねぇ…などと、心の中でツッコミを入れ。
天井には、これまた映画でしか見た事無いような、立派なシャンデリアがぶら下がっていた。
「…ココ何処だよ?」
正面を見ただけでも、全く知らない部屋だ、それも巨大な部屋。
海外に出張した際、会社が用意してくれた部屋もデカかったが、そんなモノを簡単に超えるデカさだ。
「おいおい、何寝ぼけてんだよ相棒。ここはお前の部屋だろ?」
直ぐ側から、そんな声が返って来た事で、思わずそっちに目を向け固まる。
聞こえたのは自分から見て右側、そこには、ユウキの右手首を持つ褐色の美女が横向きに寝っ転がっていた。
女性にしては低い声だが、ガラガラ声と言う程でもない、所謂カッコイイお姉さんと言った感じだ。
褐色の肌は、日焼けした健康的な感じで、如何にもスポーツなどの体を動かす事が得意ですと言った見た目をしている。
しかし、問題はそこでは無い。
白いシーツの上に、横向きで寝っ転がっている事は構わない…のだが、本人は素っ裸である。
それはもう、色々と見えてヤバい事に…主にユウキの精神的に。
「うわわわわ!!何で裸なんだよ!!ってかホント、何処だよココ?!」
「あ〜だから落ち着けって、な?慌てるとベッドから落ちるぞ?」
そう言うと、ユウキの右手を自分の方へと引き寄せ、そのまま抱きしめる。
「なあぁーーー!!」
「やれやれ、騒ぐなって言ってるだろ?ベッドの上では静かにするもんだ」
真っ赤な顔をしているユウキを大きな胸で挟み込みながらも、ニヤニヤとした顔をする女性。
目の前の光景に、目を大きく見開くユウキだったが、直ぐに目を閉じる。
「どうしたんだい相棒、目ぇなんか瞑って?」
「もががぁ(離れろ)」
「あん、何だって?」
「もがぁー!!(離せぇー)」
胸の渓間に鼻から下を密着させられている為、口を開けて喋る事が出来ない。
無理に喋ろうとすると、今みたいに何を言ってるか分からない状態になる。
それが分かっていてやっているのだろうが…。
「ところで相棒、ワタシの名前は分かるかい?」
ニヤけた顔をした女性がそう言うが、ユウキは目を開けない。
いや、この状況で開ける訳にはいかない…っと。
ちなみにユウキ本人は、結婚してたので、女性の肌を見慣れていない訳では無いのだが、さすがに妻以外の女性の裸を見るのは、自身の良心に掛ける事…などと思いながら、更に目を開けないよう力を入れる。




