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86話


「さて、今日集まってもらったのは他でもない。二日前、南方にて起こった天変地異に対してじゃ」


老人とは思えない程のよく通った声に、その場にいた全員が、それぞれ顔を見合わせる。

『二日前に起こった天変地異』といえば、南に位置する国境警備隊からの一報だ。


第一報は、『南方ニテ異常アリ』、続く第二報は、『南西ノ海ニテ巨大ナ岩ガ落下』とあった。

第一報の方は良い、内乱なり何なりと言いようがある、しかし問題は続報だ。


『巨大ナ岩ガ落下』とは一体何の事なのか…と。

実際この文は、国境警備の兵士が昼夜を問わす馬を走らせ届けた物だ。


連絡を素早く届けられるように整備された専用道を通れば、国境から僅か一日で帝都に連絡が来る。

元は、海を超えた南方の更に向こうにある砂漠の国で作られたシステムと言われている。


実際、かの遠方から伝わったとされる数々の代物は、当時の国々にしてみても、かなりのオーパーツ的存在だった。

遠くの物もハッキリ見える遠眼鏡や、水の流れを使って歯車なる物を動かす水車、他にも色々な品物が、遠い異国から伝わって来た。


この素早い連絡方法も、彼の地から伝わった方法だ。

ただし、彼の地では『こんくりいと』なる石のような代物で、砂漠に道を作ったとされている。


残念な事に、製造方法が失われている為、帝国では踏み固めた道を使用している。

それでも十分に使用出来る代物だ。


ちなみに、この連絡方法の為に道を整えると言う事に関しては、騎士団を中心に否定的な意見が多かった。

『下手に道を整備すれば、そこから敵が雪崩れ込んでくる』と言うモノだった。


実際問題、それは有り得る話だ。

そこで帝国では、馬一頭が走り抜けられる程度の幅で道を作った。


これならば、敵が国境を抜けたとしても、道幅の狭い場所よりも軍隊が展開出来る未舗装道を通るだろうとの読みだった。

更にこの整備した道には、十キロ毎に兵士と関所を設け、もしもの時に備えている。

その関所では、馬の交代も出来る為、更に素早く連絡が取れるシステムになっている。


そこまで整備された道を使い届けられた情報は、一つや二つでは無い。

国境は大陸内だけではなく、海にも設置されている。

その海側を守る砦からも気になる情報が届けられていた。


『南南西ノ方向二 巨大ナ大陸ガ 落下シタ』


ただ落下したと言うだけであれば、他の情報に埋もれていただろうそれは、見逃せない情報だった。


「大陸…だと?」


その情報を持ち込んだ人物は、三年前、南の神聖王国を名乗る連中と、国境付近で小競り合いをした際、積極的に戦わなかったと言われ、南西の砦へと左遷された元第五騎士団長だった。

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