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79話

最早点では無く、巨大な岩石が間近まで迫った頃、突然『ピーッ』と言う甲高い音が鳴り響く。


異常を知らせる警笛だ。

どうやら見張り交代に来た仲間の誰かが吹いたらしい。


その音に気付いた全員が、砦内部から飛び出して来る。

『何だ、敵襲か?!』そう叫びながらも武器と防具を装備しながら警戒していたが、飛び出した全員が東の空を見て固まる。


巨大な岩塊、それが砦の上空を通過しようとしていた。

それを見た全員、威張り散らす先輩達も、いけ好かない部隊長も、密かに狙っていた若い女性騎士も、何事かと食堂から飛び出して来た専属コック達も、口をあんぐりと開けて見上げていた。


どれくらいたったのだろう、一分?十分?一時間?轟音を立てて移動するそれが頭上を通り過ぎても、誰一人として動けなかった。

その巨大な岩塊は、この東の砦を飛び越えて、西にある山脈の山頂をスレスレで横切り、そのまま西へと進んで行く。


「な、何をしている!!早く王都に、陛下に連絡を!!急げ!!それと、此れを機に隣国の馬鹿共が攻めてくる可能性もある、急ぎ防衛の準備と斥候を放て!!」


最早、その姿形が全く見えなくなった時、副隊長が声を上げていた。

髭面の強面のおっさんで大ベテラン、そんな副隊長が青筋立てて怒鳴っていた。


っと同時に、砦内が騒がしくなる。

偵察隊の連中が馬を引き出し、暗くなり始めた西の街道へと走り出す。


斥候隊も多数、東側へと散らばって行く。

この砦の東側は、一応神聖王国に臣従した小国ばかりが存在するが、だからと言って奴らが従順かと言えばそうでは無い、虎視眈々と隙を狙っている。


そんな『もしも』の為に存在するのがこの東の砦だが…。


「あれはいったい何だったんだ?」


誰が発したか分からないその言葉が、今此処にいる全員の思っている事だったが…これで自分の業務終了は無かった事にされるな〜っと、交代待ちだった若い騎士は、さっきまで見上げていた空に視線を移す。




〜〜〜〜〜

その頃の浮遊大陸はと言うと…


「うぐぐぐぐ…重いぃぃぃぃ…高度が上がらない…」

「マスター、ファイトです」


ダラダラと汗を流しながら、空中に浮かせた手を引っ張る仕草をしているユウキ。

そのすぐ横では、両手を胸元で握りしめながら応援するリリーナの姿があった。


目を瞑るユウキの網膜には、地上スレスレを飛ぶ浮遊大陸の姿が映し出されていた。

しかも、かなりスピードが出ているように思え、ユウキ本人は必死になって、色々な建造物や山などの物体を避けている…つもりだった。

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