77話
浮遊大陸が浮かぶ高度は、一万から一万五千。
これは、ゲーム内設定からそう言われていて、当然ながら現実であれば人が住める環境になっていない。
運営曰く
『結界を張っているから、空気圧も太陽光による放射線も問題無し』
と言う、身も蓋もない『お知らせ』が全体チャットであった程だ。
どうやら、その手の事に現実的な事を触れてクレームを付けてくるプレイヤーが居たらしく、運営側も『ファンタジーにリアルを持ち込まれても興ざめ』等と某掲示板に書き込んでいた。
そんな高度を飛ぶ浮遊大陸を中心にマップを開くと、本来であれば周辺は何も無い空間、青色として表示されるハズだった。
浮遊大陸の存在する位置は遥か上空、そこに到達出来るのは、一部の『翼を持つ魔物』か『空を飛べるアイテム持ちプレイヤー』くらいだ。
そんな特殊な位置情報の為、ある一定以上の高さからは別マップ扱いになる仕様だ。
ちなみに、空にも別マップが用意されている理由は、次の大型バージョンアップで空中戦も実装される予定とされているからだ。
これは、浮遊大陸のように上空に設置されると、簡単に攻め込む事が出来なくなる。
空を飛んで攻めるにしても、飛ぶためのアイテム集めだけでどれだけ時間とお金が掛かるか分からない。
それと、現在浮遊大陸持ちは三名だけだが、将来的に所持者が増えた際、浮遊大陸同士の戦いも視野に入れたシステムにしたいと運営は思っていた。
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そんな浮遊大陸周辺に広がるのは薄い緑色の大地、平原地帯だ。
よく見れば、細い道と川らしきものがアチラコチラと伸びている。
その道の途中には四角い物体、形状から町並や村だろう、そういった物が見える。
小さな点のようなモノは人なのかもしれない…が、今はそれどころでは無い。
町や村が見えると言う事は、この浮遊大陸が相当低い位置に居ると言う事だ。
本来の浮遊大陸が浮かんでいる高度では有り得ない景色、だからこそ焦りながらも記憶をフル活動させていた。
『えっと、空から地上が表示されるのは確か三十メートル…いや違う!!それはマップ埋めをする場合で、表示されるだけなら百メートル?いや二百メートル?あぁぁー思い出せない!!けど、五千メートルは切ってたハズ!!うん、そこは間違い無い…のか?現実世界になったんだから違う可能性も?』
浮遊大陸の下に表示される『見た事の無い地図』に驚きながらも、ユウキの指は、浮遊大陸落下阻止の為に動く。
自身の予想通りであれば、さっきの角度を直した時のように、今度は大陸全体をイメージして。




