75話
「やべぇ!!」
慌てたユウキだったが、大きく傾いた事で、リリーナの方へと体が転がってしまう。
「マスター?!」
咄嗟に受け止めてくれたリリーナ、その際、その飽満な胸にユウキの顔が埋もれてしまったが、不可抗力不可抗力。
一秒程固まっていたユウキが、素早く離れる。
一瞬目眩のしたユウキだったが、座り込んだ姿勢のまま自身の手を見る。
さっきまで動いていたと思った両手は、よく見ればプルプルと震えていた。
「うわぁ、回復しきれてないなコレは?」
「急に動いてはいけませんマスター。まだ魔力は切れたままなのですから」
「魔力?切れ?」
聞き慣れない言葉に、リリーナの胸の中で思わず止まってしまったユウキ。
徐々に傾いていく浮遊大陸に焦りを感じながらも、簡潔に魔力切れに対する話をするリリーナ。
アルテミア大陸の人間は、魔力がある一定以下になれば昏倒、最悪死に至ると言う話だったが、ゲーム基準のユウキには初耳の話ばかりだった。
とは言え、今ココでその事を言っても仕方がない…と、意識を切り替える。
「俺は魔力切れってのになっていた…んだよな?」
「はい、その通りです。その為、浮遊大陸が落下しています。このままでは、後数時間後には地表に落下してしまうかと」
「…」
そう言われて、『さて、どうしたもんか』と心の中で呟く。
浮遊大陸が落下している事は、なんとなく分かった…が、どうやってそれを止めるか…一応、案が無い訳ではないが、それでも確実とは言えない。
取り敢えず、今やるべき事は…
「リリーナ、その回復薬を全部くれないか?一気に飲んで回復させるから」
この手の物語的な話なら、まずは魔力を回復させれば何らかの反応がある…ハズ?
そう願いつつ、震える手をリリーナの前に出すが、何故か回復薬を胸に抱えたまま固まっていた…いや何でさ?
「リリーナ?」
「は、はい?!コチラ…です」
おずおずと、手に持った回復薬を渡してくるリリーナ、微妙に人肌の温もりがあったが考えない、スルーだスルー。
受け取った回復薬を一息に飲み込む。
さっきと同じように、体の奥底から力が湧き上がってくるような感覚が来る。
それを回復した証だと思い込んで、次の回復薬を要求する。
さっきから躊躇しているリリーナの手から、残り四本の回復薬を奪うようにして掻っ攫うと、次々に封を開けて飲み干して行く。
一本につき百ミリリットルと言う所だろうか?そんなに多くは無い。
最後の一本を飲み干すと『げふっ』と下品なゲップをしながら、もう一度寝転がり、目を閉じる。
『魔力が原因なら、これで何とかなるハズ。ダメでももう一つの手で…』
そんな事を考えながら、瞼の裏に浮かぶ全体マップに目を向ける。




