74話
『これどういう事?何が起こってる?説明求む〜って、誰もいませんよぉ〜』
あまりの衝撃に、一瞬固まってしまったユウキだったが、口の中満杯の液体をどうしたものかと考える。
とは言え、必死の顔をしたリリーナの前で吐き出す訳にもいかず、仕方がない『ゴクリ』と音を立てて飲み込む。
胃の辺りまで液体が流れ落ちる感覚の後、急に体の奥底から不思議な力が溢れ出す。
さっきまでの体のダルさが緩和され、少しだけ動けるようになった。
「おぉ?!体が動く、声も出る、やったぁ〜」
相変わらず寝転がったままだったが、言葉を発するとカッと目を見開く。
側で回復薬を自分の口元に持って行こうとしていたリリーナが、驚いた表情てユウキを見る。
そこには寝転がった状態て、両手を目の前に持ち上げ、ニギニギと開閉して確かめているユウキの姿があった。
背中を離すと、またマップを開く為に集中するのが面倒なので、寝転がったまま目線だけを周囲に回す。
「ま、マスター、お体は?」
「あ〜大丈夫だよ。さっきと違って動けるみたいだ。流石に飛び跳ねたりは出来そうもないけど」
そう言いなから手を垂直になるよう上げるが、多少の動きづらさがあるだけで問題は無さそうだった。
その言葉にほっとした顔をするリリーナだったが、現状の問題を思い出す。
「そうです。大変なんですマスター。浮遊大陸が落下しているんです」
「うん、聞こえてたから、まぁ落ち着いて」
寝転がったまま苦笑いをしつつ、目の前に上げていた手を上下に振る。
起きていれば『まぁまぁ』と言う声でも聞こえてきそうな動きだったが、寝転がったままだと格好が付かない気がするユウキ。
とは言うものの、僅かに響き渡る振動から、余り時間が無い事は分かっていたので、さっさと行動する事にする。
取り敢えずは
「リリーナ、それってポーション…魔力回復薬だよね?青色だし…ってか、その色だと上級?」
ゲーム内での名称であるポーションと言いそうになったが、そこは伝わりやすいようにと言い換える。
手の中にあった半分消費された回復薬を見るリリーナは、顔色を変えながらすぐに反応を返す。
「申し訳ありません。王宮の備品である回復薬を勝手に使用してしまいました。この件に関しての処罰は、全てが片付いた後にお受けしま」
「待て待て待てーい!!」
何やら捲し立てるリリーナに、思わず飛び起きてしまうユウキ。
『ありがとう』と言うつもりが、何故か謝罪からの処罰に展開された為の咄嗟の行動だった。
そうしてユウキが起き上がった瞬間、『グラリ』と一際大きく揺れ、浮遊大陸の傾きが酷くなったのだった。




