71話
傾きに合わせるようにユウキの体も傾いて行く。
それをリリーナが、自身の体を入れ替えて支える。
器用にも、握ったユウキの右手を捻らないよう気を付けながら、それ以上動かないよう、体全体で支える。
当のユウキ本人はと言うと…
『うぉぉーい、リリーナさんや、何してんの?何で体入れ替え…いや、俺の体、支えてくれるのは嬉しいけと、太ももが、太ももがぁぁぁー俺の脇腹に当ってる?!あ、柔らかい…じゃなくてぇー!!』
マップに集中しようとしながらも、自分の脇腹に当たる感覚に、どうにも気が散るユウキだったが、段々とそれ所ではなくなってきていた。
改めてマップを見るが、上から見下ろす普通の地図がそこに表示されているだけだった。
『くぅ〜、集中集中…集中しないと…』
自分の中の煩悩と戦いながらも、マップ画面を凝視する。
右脇腹辺りに横座りするリリーナの太ももの感触を何とか意識しないよう…うん、無理ゲーだこれ…っと、早々に諦めモードに入りながら…。
そんな、世の男共が見れば『自分の手を握ってくれる美女』という『羨まけしからん』状態になりながらも、マップ画面に半透明の指先を持ってくる。
ついさっきやった地割れを直す時と同じようにマップに指先を当てるが、今回はそれだけでは無い。
『あまり使った記憶無いから…これで合ってるかな?』
マップに当てた指先を固定するイメージを送る。
本来のゲーム内では、マップ画面にマウスを使って矢印を当て右クリックを押しっぱなし、所謂ドラッグ状態にしながらマップ本体を動かす。
これにより、マップの左右回転から上下移動が出来るようになり、更にホイールを動か素事で近視と遠視を変える事も出来る。
この機能は、自身の持つ領地を斜め上から見下ろしたりする為のものだ。
『某列車で行こう』的な、自分の領地の発展状況や建物が造られるさまをじっくり見る事が出来る。
マップをドラッグして、斜め上からの視点に変更し、その後、見たい地域にカーソルを合わせてホイールで近付ける。
領地を得たプレイヤーが最初にやると言われている行動だ。
ちなみにユウキは、浮遊大陸を得た日にその機能を使ったが、次の日からは使っていない。
別に飽きた訳では無いが、ユウキ本人は素材集めが日課と言うか、毎日のローテーションにしているようなゲーム生活だった為、ずっと街や村が出来る様を見ている訳にもいかなかったからだ。
実際、忘れた頃に『何処まで出来てるかなる』っと確認する程度には使っていたが…それでも月一回あるか無いか適度だった。




